NY市場サマリー(14日)ドル小幅安、利回り低下 株反発

<為替> ドルが小幅安。前日発表された好調な米消費者物価指数(CPI)を背景に一時3カ月ぶり高値を付けたものの、利益を確定する動きが広がった。

主要通貨に対するドル指数は3カ月ぶりの高値となる104.97を付けた後、終盤の取引では0.1%安の104.72。

1月の米CPIは前年同月比3.1%上昇した。伸びは前月の3.4%上昇からは鈍化したものの、主に住居費の上昇で市場予想の2.9%を上回った。

金融市場では、利下げ開始時期予想が後ずれしたほか、年内に0.25%ポイントの利下げが3回程度実施されるという見方が織り込まれ、2週間前の5回程度から減少した。

UBSの外為ストラテジスト、バシリ・セレブリアコフ氏は、ドル上昇が当面続くという見通しを示した上で、「状況は急速に変わる可能性がある。ただ、15日に発表される米小売売上高も堅調な内容となることが予想され、ドルを支援するだろう」と述べた。

ドル/円は0.2%安の150.52円。

神田真人財務官は14日朝、為替市場での年初来10円もの円安の動きは急速で、経済に悪影響を及ぼす可能性があると述べた。円安には投機的な動きも含まれるとして、必要があれば適切に対応する考えを示した。

鈴木俊一財務相も、為替相場の急激な変動は望ましくないとして、「なお一層の緊張感を持ってみている」と語った。為替介入についてはコメントを控えた。

ポンド/ドルは0.2%安の1.2563ドル。一時、約1週間ぶりの安値に沈む場面もあった。

1月の英CPI上昇率は前年比4.0%で昨年12月と同じだった。インフレ率は今後さらに低下すると見込まれ、市場ではイングランド銀行(中央銀行)の年内利下げ観測が強まった。

LSEGのデータによると、英中銀による6月の利下げ開始の確率は51%、8月は75%となっている。

ユーロ/ドルは0.2%高の1.0720ドル。

暗号通貨(仮想通貨)ではビットコインが4.1%高の5万1612ドル。一時5万2000ドルを上抜け、2021年12月以来の高値を付けた。

<債券> 国債利回りが低下した。シカゴ地区連銀のグールスビー総裁の利下げ時期に関する発言が材料となった。

グールスビー氏は14日、インフレが連邦準備理事会(FRB)の目標である2%に低下するまで利下げを待つべきではないという見解を示した。

この発言前から利回りは小幅に低下していたが、発言を受けて下げ幅を拡大した。

10年国債利回りは5ベーシスポイント(bp)低下し4.267%。一時は12月1日以来の高水準となる4.332%に達する場面があった。

2年債利回りは8bp低下し4.578%。13日には4.673%まで上昇し、12月13日以来の高水準を付けていた。

CMEのフェドウォッチによると、FRBが6月に少なくとも25bpの利下げを実施するとの予想は78.5%に達している。一方、5月利上げへの期待は38.5%に低下した。1週間前は63.7%だった。

30年債利回りは2bp低下の4.449%。

2年債と10年債の利回り格差はマイナス31.26bp。13日のマイナス34.83bpからやや縮小した。

物価連動国債(TIPS)と通常の国債の利回り差で期待インフレを示すブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は、5年物が2.369%、10年物が2.297%だった。

<株式> 反発。好材料の出た米配車大手ウーバー・テクノロジーズとリフトに買いが先行したほか、半導体大手エヌビディアが時価総額でアルファベットを抜き、米企業として3位に浮上した。

AI(人工知能)用半導体で先行するエヌビディアは来週の決算発表を前に2.5%上昇し、時価総額が1兆8250億ドルに達した。

ウーバーは70億ドル相当の自社株買いの発表を好感し、約15%上昇して上場来高値を更新。

リフトは35%急騰。第4・四半期決算発表で利益が市場予想を上回り、2024年に初めてフリーキャッシュフローがプラスになるとの見通しを示したことが買い材料となった。

メタ・プラットフォームズとテスラも2%超上昇し、S&P総合500種の上げに寄与した。

サーバーなどを手がけるスーパー・マイクロ・コンピューターもAI関連として買われ、11%超値を上げた。これにより中小型株で構成するラッセル2000株価指数は2.4%高と、12月半ば以来の大幅上昇となった。

前日の米株式市場は、1月の米CPIの予想を上回る伸びで早期利下げ観測が一段と後退し、急落していた。

ロングボウ・アセット・マネジメントのジェイク・ダラーハイド最高経営責任者(CEO)は「利下げ開始がいつになるかにかかわらず、市場はFRBの懸念を共有する必要がある。つまり利下げが早すぎて利上げを余儀なくされる状況で、この上昇相場にとっては大惨事となるだろう」と述べた。

シカゴ地区連銀のグールスビー総裁は、たとえインフレが今後数カ月の間に予想以上に高くなったとしても、目標に回帰する道筋をたどることになるとの見方を示し、市場にやや安心感をもたらした。

新興ネット証券のロビンフッド・マーケッツは13%上昇。第4・四半期決算が予想外の黒字となったことを受けた。

暗号資産(仮想通貨)ビットコインの時価総額が2021年11月以来、約2年3カ月ぶりに1兆ドルの大台を回復して関連株が買われ、コインベース、マラソン・デジタル、ライオットがそれぞれ13%余り上昇した。

<金先物> 米早期利下げ観測が後退する中を、5営業日続落した。中心限月4月物の清算値(終値に相当)は前日比2.90ドル(0.14%)安の1オンス=2004.30ドル。中心限月の清算値ベースで昨年12月中旬以来約2カ月ぶりの安値を付けた。

NY貴金属:[GOL/XJ]

<米原油先物> 米原油在庫の急激な積み増しを嫌気した売りに押され、8営業日ぶりに反落した。米国産標準油種WTIの中心限月3月物の清算値(終値に相当)は前日比1.23ドル(1.58%)安の1バレル=76.64ドル。4月物は1.20ドル安の76.36ドル。

米エネルギー情報局(EIA)が午前に発表した週間在庫統計(9日までの1週間)では、米原油在庫は前週比1200万バレル増と、市場予想(260万バレル増)を大幅に上回る積み増し。製油所稼働率は1.8ポイント低下の80.6%と、2022年12月以来の低水準を記録した。

これを受けて供給過剰感が台頭し、前日公表の石油輸出国機構(OPEC)月報で示された世界石油需要の堅調伸び見通しを追い風とした買いの流れが失速。相場は78ドル台から76ドル台にレンジを切り下げた。

ドル/円 NY終値 150.55/150.58

始値 150.57

高値 150.75

安値 150.36

ユーロ/ドル NY終値 1.0725/1.0729

始値 1.0706

高値 1.0734

安値 1.0702

米東部時間

30年債(指標銘柄) 17時05分 96*28.00 4.4395%

前営業日終値 96*14.00 4.4670%

10年債(指標銘柄) 17時05分 97*28.50 4.2613%

前営業日終値 97*14.50 4.3160%

5年債(指標銘柄) 17時05分 98*29.25 4.2448%

前営業日終値 98*19.00 4.3180%

2年債(指標銘柄) 17時05分 99*12.25 4.5821%

前営業日終値 99*07.88 4.6560%

終値 前日比 %

ダウ工業株30種 38424.27 +151.52 +0.40

前営業日終値 38272.75

ナスダック総合 15859.15 +203.55 +1.30

前営業日終値 15655.60

S&P総合500種 5000.62 +47.45 +0.96

前営業日終値 4953.17

COMEX金 4月限 2004.3 ‐2.9

前営業日終値 2007.2

COMEX銀 3月限 2238.7 +23.3

前営業日終値 2215.4

北海ブレント 4月限 81.60 ‐1.17

前営業日終値 82.77

米WTI先物 3月限 76.64 ‐1.23

前営業日終値 77.87

CRB商品指数 270.1871 ‐2.8591

前営業日終値 273.0462

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