物価2%実現「平たんでない」、軟着陸確信は尚早=バーFRB副議長

Howard Schneider

[ワシントン 14日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のバー副議長(金融規制担当)は14日、1月の消費者物価指数(CPI)が予想を上回ったことについて、インフレ率2%への道が平たんでない可能性を示したと指摘した。

また、現行の政策金利水準をいつまで維持するかという難しい判断を迫られている中、米経済がソフトランディング(軟着陸)すると断言するのは依然として時期尚早だと述べた。

最近の雇用・インフレ関連指標が予想以上に強いことから、雇用と経済成長に大きな打撃を与えることなく、高インフレを抑制する闘いの現状について慎重な姿勢を示した。

全米企業エコノミスト協会の会合で「インフレ率2%への軌道上にあると確信している」とした一方、予想を上回る1月のCPI統計は「2%への道が平たんでない可能性を思い起こさせる」と述べた。

その上で、利下げプロセスを開始する前に「良い指標の継続を確認する必要がある」とし、パウエル議長らが提唱する利下げに関する「慎重なアプローチ」を支持する立場を示した。

現在の状況の根底に新型コロナウイルス禍の影響があることを踏まえると「明確な歴史的類似点がないため、現状では(金融政策の)判断が難しい」とも語った。

足元で懸念が浮上している商業用不動産については、一部のオフィスビルの価値が下がり、融資している銀行に問題をもたらす可能性はあるものの、時間とともに解決し、金融セクターに「深刻な」問題をもたらすことはないとの見方を示した。

約1年前のシリコンバレー銀行破綻とその後の信用不安に言及し、金融システムは「昨春よりはるかに良い状態にある」と述べた。

ニューヨーク・コミュニティ・バンコープ(NYCB)を巡る懸念については「銀行1行が業績予想を下回り、引当金を増やしても、銀行システム全体が強いという事実は変わらない」とし「システム全体に流動性問題の兆候は見られない」と語った。

バー氏はさらに、FRBのバランスシート縮小を継続しつつ、銀行が引き続き準備金に容易にアクセスできるよう市場を注視しているとした上で、バランスシートの今後を巡る詳しい議論を「近く」開始すると述べた。

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