長崎市が新年度予算案を発表 一般会計2310億円で過去最大 人口減克服へ31億円配分

長崎市の一般会計当初予算案

 長崎市は14日、2024年度一般会計当初予算案を発表した。歳入・歳出は2310億5千万円(前年度比5.6%増)。大型事業に伴う公債費(借金返済額)が24年度にピークを迎えることもあって、過去最大規模となった。就任1年目の鈴木史朗市長肝いりで進める人口減少対策の重点プロジェクトとして、161事業に総額31億6千万円を配分。21日開会予定の定例市議会に提出する。
 初の本格予算編成の狙いについて、鈴木市長は「まずは全国的に見ても速いスピードで進む人口減少を鈍化させたい。重点プロジェクト以外にも、市民の暮らしを向上する予算をしっかりと措置した」と述べた。
 161事業の内訳は新規91、拡大44、継続26。市職員と外部専門家でつくる「政策実現会議」で現状や課題を洗い出し、重点化の方向性を絞り込んだ。
 重点プロジェクトは3本柱で構成。このうち「経済再生」は交流拡大や新産業創出などに17億9900万円、「少子化対策」は結婚や出産、子育てなどの段階的な支援に11億700万円をそれぞれ投じる。それらを支えるため、市の財政健全化などを図る「新市役所創造」に2億5800万円を充てた。
 ほかに▽認知症患者らの成年後見制度利用支援(3500万円)▽障害福祉センターの発達障害児受け入れ態勢充実など(4100万円)▽輪番制病院の看護師確保に向けた補助(450万円)-なども計上した。
 歳入のうち自主財源の市税は、法人市民税や固定資産税、事業所税が増え、前年度比0.2%増の550億4600万円。国庫支出金や地方交付税などの依存財源が6割余りを占めた。
 歳出のうち公債費は、新市庁舎建設やJR長崎本線連続立体交差などの公債費償還がピークを迎えているため、同7.1%増の271億800万円となった。
 借金に当たる市債残高は24年度末時点で2596億6300万円(市民1人当たり65万6千円)、貯金に当たる財政調整基金と減債基金は計96億800万円にそれぞれなる見通し。
 市は14日、31億2千万円を増額する23年度一般会計補正予算案も発表。平和公園のスポーツ施設再配置に関して、再検討部会の開催数増による業務委託料などを盛り込んだ。補正後の予算総額は2483億2100万円となる。

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