核燃税交付金配分の上限撤廃 40億円台に増額 青森県が方針、全県拡大も調整中

 青森県は原子力事業者に課す「核燃料物質等取扱税(核燃税)」を原資とする核燃税交付金を巡り、関連施設の立地・周辺15市町村への配分を年間計30億円とした上限(定額)を撤廃し、増額する方針を固めたことが14日、関係者への取材で分かった。定額から定率に切り替え、税収増ならば配分額も増える仕組みに変える。2024年度からの5年間は核燃税率の一部を上げて増収となる見通しのため、新税率下での交付額は年間40億円台に引き上がる見通し。

 さらに県は立地・周辺15市町村への配分とは別に、現行の交付金制度では対象外となっている津軽、三八地域25市町村にも交付できるよう調整中。配分先を全県に広げたいもようだ。

 交付金制度は県が12年度に創設した。近年は税収額が190億円台で推移する中、配分額は計30億円(15%程度)に設定。そのうち原子力施設が立地するむつ、大間、六ケ所、東通の4市町村に計15億円、上十三地域が中心の周辺11市町村にも同じく計15億円を配分してきた。

 24年度からの5年間、県は年間250億円規模の税収を見込む。関係者の話を総合すると、配分率を税収の2割程度まで引き上げることで、立地・周辺15市町村への交付額が現行30億円から1.5倍前後に増え、平年ベースで40億円台に乗る見通し。関連経費を24年度当初予算案に計上する。

 下北半島の立地4市町村長は5日、税収が増える一方で交付額は30億円のままでは「増収分が(配分に)反映されない」(山本知也むつ市長)として、県に「税収の25%」への配分見直しを要請していた。

 宮下宗一郎知事は「県予算全体の中で最大限の配慮を図りたい」と答えた。宮下氏は、むつ市長時代に「25%程度」への増額を県に求め、配分先の拡大を含めた交付事業の見直しに言及した経緯がある。

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