小中給食費 無償化へ 青森県、市町村に財源配分 全県実現なら全国初

 青森県が県内小中学校の給食費の無償化に向け、市町村へ財源を配る方向で調整していることが14日、複数の関係者への取材で分かった。児童生徒数に応じた額を2024年度中に各市町村へ配分し、無償化を促す。既に給食費を無償化している市町村にも配り、浮いた予算を別の子育て経費の無償化に活用してもらう方向で検討している。全県での給食費無償化が実現すれば全国初となる見通し。

 県は、20日に発表する24年度当初予算案に市町村への配分額を盛り込む。給食費、医療費、おむつ代などの子育て経費の段階的無償化は、昨年6月に就任した宮下宗一郎知事が公約に掲げている。

 県教育委員会によると、昨年10月時点で県内の17市町村が給食費を無償化している。市町村側の準備が必要になるため、年度当初の4月からの全県的な実施は見送り、年度途中から一斉に無償化できるよう調整を進める。市町村への配分額は、児童生徒1人当たりの単価を設定して決める。

 学校給食を巡って県は、県産農林水産物を食材に積極的に取り入れる取り組みも進める。子育て支援に加え、給食を通じた食育や地元産品のPRにも力を入れていく。

 これまで複数の市町村長や市町村議会議長から給食費無償化の要望を受けていた宮下知事は「どの自治体で育っても、同じ公的支援が受けられるようにするべきだ。県内市町村の(支援の)ばらつきをならしていくのが自分の使命」との考えを示していた。

 県は24年度当初予算の編成に当たり、「少子化への挑戦」を最重要課題に設定。給食費をはじめ子育て経費が連鎖的に無償化される環境を整え、子育て世帯の負担軽減を図っていく。各種施策を推し進めるため、4月に県庁の組織を改編し、子ども・子育て施策を集約した「こども家庭部」を新設する。

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