路線バス運行1割減 弘南バス(青森県)運転手不足 ためのぶ号は廃止

 弘南バス(本社青森県弘前市)は14日、運転手の減少や残業規制強化など「2024年問題」を受け、4月からの路線バス運行量を運転手ベースで約1割減らすとの見通しを明らかにした。同日、弘前市役所本庁舎で開かれた市地域公共交通会議で、同社の松山泰芳宏・乗合バス課長が観光路線バスのりんご公園線(愛称・ためのぶ号)の廃止や、弘前市内のバス路線の新設・統廃合を発表した。

 松山課長は終了後の取材に対し、同市以外を走るバス路線でも廃止や路線再編などを検討しているとし、来月のなるべく早い時期に公表する考えを示した。

 ためのぶ号は2003年に運行を開始した。4~11月の観光シーズンに、観光施設のりんご公園や津軽藩ねぷた村、弘前駅前などを1日4往復する。今後は路線バスを利用してもらう。

 久渡寺線(弘前駅前-久渡寺)を桜ケ丘団地経由にし、同団地を通る路線をその分減便。撫牛子環状線に免許センター前経由を1日3便新設する。

 弘前市地域公共交通会議(会長・大橋忠宏弘前大学人文社会科学部教授)は14日、来年度から5年間で取り組む市地域公共交通計画の素案を公表した。路線バスと乗り合いタクシーや鉄道への乗り継ぎやすさ向上、交通ネットワークの再編などで、バス運転手の減少に対応しつつ、コロナ禍以前の水準への乗客数回復を目指す。同計画は、2016年度策定の市地域公共交通網形成計画を継承した。

 人口が少ない地域を走る乗り合いタクシーから主要道路を走る路線バス、そして鉄道へと安くスムーズに乗り継ぎできるよう、交通系ICカードやキャッシュレス決済を使った通し運賃制度、サブスクリプション(定額乗り放題)などを検討する。

 郊外のバス路線から順に再編を進め、需要に合わせた交通体系を整備して交通機関の収支改善を図る。

 計画では、28年度の路線バス利用者数を年間73万4千人(33.4%)増の293万人、弘南鉄道弘南線を20万4千人(19.5%)増の125万人、同大鰐線を7万1千人(21.5%)増の40万人とした。いずれも19年度の実績値と同等。

 14日に市役所本庁舎で開かれた同会議で、素案を承認した。意見公募などを経て3月中に計画を決定する。

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