インフレ時代に強いのは銀行預金でも不動産でもなく「株式投資」だと言い切れる理由【サラリーマン投資家が解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

バブル崩壊から長いデフレが続いていた日本にも、インフレの波が押し寄せています。容赦なく物価が上がる一方、給料の伸びが追いつかない現状では、ただお金を大事に抱えていても手持ち資産の実質的な目減りを防ぐことはできません。本記事では『新NISAはほったらかしが9割』(双葉社)から、著者の長田氏が「株式」と「新NISA」がこれからのインフレ時代における庶民の強い味方になる理由を詳しく解説します。

インフレ時代に一番強いのは「株式」

アメリカをはじめ、世界各国は現在インフレ時代を迎えています。バブル崩壊後の1990年代初頭から“失われた30年”と言われて、経済が低迷し、長いデフレ時代が続いていた日本もついにインフレ時代に突入しました。

インフレ時代の株式投資はデフレ時代の株式投資とは違います。私が『株はメンタルが9割』を執筆した2021年当時はインフレではありませんでした。その後、商品価格の高騰や円安が誰の目にも明らかになった2023年にはインフレが進んでいます。

スーパーに行って買い物をしていると、特売商品は姿を消し、すべての物が高くなりつつあることを実感します。最初は申し訳なさそうに値上げが進み、消費者の側も買い控えが見られたものの、値上げにつぐ値上げで、最近では淡々と来月から値上げという感じですし、消費者の側も値上げに慣れてきた感じがあります。

デフレになる前の日本はこんな感じだったのだろうなと感じさせられます。テレビショッピングを見ていても、これまでは最後の一押しに、さらに「いつまで値下げ!」という売り方でしたが、「来月から値上げするので、このお値段でご紹介できるのは今回限り」という形でクロージングするケースが目立ってきました。

容赦なく物価が上がっていく一方で、給料の伸びは追いついていません。給料は企業活動に遅行していく性質があるので、インフレが進んでいる中では物価の伸びに追いつきません。

それでは、このインフレに対応するにはどうすればいいかといえば、リスク資産を持つしかありません。

“リスク資産”といえば、まず「不動産」が挙げられます。また、「金、絵画、高級時計」といった現物資産も値上がりしています。そうした中、実は一番インフレに強いのは、株式です。株式はインフレが続いていく中で資産を保全していくことができるのです。

我々はどうしても「資産を増やす」という意味で株式投資を捉えてきましたが、デフレではなくなりつつある今、「資産を維持するための株式投資」が必要なほどに、インフレが発生する可能性が現実化しているのです。

インフレ下では株価が上昇しやすい

これまで多くの国民は「物価(物の値段)は上がらないもの」と考えていました。ところがその考え方がこれからの時代は当てはまりません。物の値段が上がることで、相対的に“お金の価値”が下がっていきます。

これは今まで1000円で買えていた商品が1200円に値上がりすることで、1000円では買えない、つまり“1000円の価値”が“商品の価値”に比べて下がったことからも実感できるでしょう。インフレ時代には知らず知らずのうちにお金がどんどん目減りしていってしまうのです。

IMF(国際通貨基金)は今年2024年の世界経済成長率見通しを引き上げる一方で、インフレ見通しも引き上げ、5.2%から5.8%へと上方修正しました。日本国内での物価上昇を見てもわかるように、数字に多少のブレはあるにせよ、今後しばらくはインフレ時代が続くことが予測されます。

今までのように何もせずにお金を大事に抱えていても、手持ちの現金(預金やタンス預金なども)の実質的な値下がりは防ぐことができません。そんなインフレ時代に強いのが株式投資です。実は、こうしたインフレ時代には株価が上昇しやすいといわれています。

[図表1]日本のインフレ率(CPI) [図表2]日経平均株価チャート

それはなぜか。インフレになり、物価(商品の値段)が上がることで、企業の売上(業績)がアップするため、それに応じて全体的には株価も上昇しやすくなるからです(もちろんすべての企業に当てはまるわけではありません)。

そこに登場したのが“恒久非課税”の新NISAです。株式の利益や配当に一切税金がかからず、かつ旧NISAでは期間制限があった“5年間非課税”(一般NISA)という縛りもなくなり、さらに保有銘柄を売った枠が翌年以降再利用できる。

こんな投資家にとって有利な条件を利用しない手はありません。新NISAはまさにインフレ時代に登場した庶民の強い味方であり、私たちの資産を守る“救世主”といっても過言ではないのです。

インフレ(デフレ)時代と株価の関係性

・インフレ(物の値段が上がる)➡企業業績(売上)アップ➡業績に連動して株価上昇傾向

・デフレ(物の値段が下がる)➡企業業績(売上)ダウン➡業績に連動して株価下落傾向

要点:インフレ時代を迎えた現在、株式投資(特に恒久非課税の新NISA)は資産形成(保全)に最適な手段

長田 淳司

サラリーマン投資家

※本記事は『新NISAはほったらかしが9割』(双葉社)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。

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