新基地建設巡る裁判、沖縄県が敗訴 大浦湾のサンゴ類移植で 福岡高裁那覇支部が県の請求棄却

(資料写真)福岡高裁那覇支部

 沖縄県名護市辺野古の新基地建設に伴う、大浦湾のサンゴ類移植に向けた沖縄防衛局の特別採捕許可申請を巡り、農林水産相が県に許可するよう是正指示したのは「違法な国の関与」だとして、県が取り消しを求めた訴訟の判決で、福岡高裁那覇支部(三浦隆志裁判長)は15日、県側の請求を棄却した。「指示は適法であり、請求には理由がない」と判示した。

 沖縄防衛局は2022年7月、軟弱地盤に生息するサンゴ類約8万4千群体の特別採捕許可を申請。県は地盤改良に伴う埋め立て変更申請の承認を得てないことなどを理由に不許可とした。同局の審査請求を受け、農相は裁決で不許可を取り消し、23年3月に許可するよう是正指示した。

 県側はこれまで、変更承認を得なければ工事はできないため、必要性は認められないなどと主張。国側は最高裁判決を盾に反論し、主な争点となったが、国側は変更承認を巡る代執行訴訟を経て23年12月末に承認を代執行し、工事に着手した。

 訴訟で県側は、移植後の生残率の低さを考慮しても県の不許可処分は適法で公益を害するものではない、などとも主張。農相の是正指示は関与権限の乱用だと訴えたが、退けられた。

 一方、国側は、許可申請の必要性と妥当性を強調。県の不許可処分は違法不当として取り消した農相の裁決の拘束力に反して許可しない県の事務は違法だと主張し、請求棄却を求めていた。

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