バスールによる跳ね馬改革の裏にフェラーリ会長の影響あり。チーム代表への抜擢から全力サポート

 2月13日(火)に行われたフェラーリの2024年型F1マシン『SF-24』の発表当日、マラネロとフィオラノで何が起こるかに注目が集まった。しかし、イタリアは静まり返ったままだった。

 昨年とは異なり、メディア向けの新車発表会は行われず、メディアも招待されず、フェラーリのプライベートコースに選ばれたファンのための特別スタンドが設けられることもなかったが、却ってそのことが“ティフォシ”やイタリアの専門メディアの期待を高めているようだ。

 注目すべき要素のひとつは、フェラーリのエグゼクティブ・チェアマンでありステランティス・グループの会長でもあるジョン・エルカンが、マシン発表の数日前からマラネロに滞在していたことだ。アニェッリ家の後継者である同会長は、亡き祖父ジャンニ・アニェッリでさえしなかった方法で、スクーデリアをトップに返り咲かせる仕事に個人的に投資している。

 エルカンは、失意のうちに終わった2022年シーズンの後、フレデリック・バスールをマッティア・ビノットの後任としてイタリアチームの指揮官に抜擢した張本人だ。ティフォシたちがこのフランス人にどれほど懐疑的であったかを目の当たりにしていた彼は、新しいチーム代表を全力でサポートした。前代表の就任はセルジオ・マルキオンネ(フェラーリ前会長)が早すぎる死を迎える前の最後の決断だったため、ビノットを昇格させた人物が彼を全面的にサポートすることはなかったが、バスールはエルカンの後ろ盾を頼りにすることができ、それはスクーデリアに多大な影響を及ぼしている。

 バスールとルイス・ハミルトン(メルセデス)の関係がずっと昔に遡るとしても、エルカンは2025年に向けてイギリス人ドライバーを雇う際にも尽力したと考えられている。この契約は7度のF1チャンピオンがスクーデリアのグランプリドライバーになるだけでなく、フェラーリのブランド内、そしてステランティス・グループにも影響を及ぼす可能性があるためだ。

 マラネロの古株たちが、バスールがチームの重要な役割にフランス人エンジニアを大量に雇うのを見て落胆して他チームへの移籍を検討していたのに対し、エルカンは部隊を集め、彼らにとっての大きな計画とは何かを説明したと伝えられている。

 アニェッリ家の後継者がスタッフと話す時間を割き、彼とバスールのプランについて説明することでテクニカルグループはふたたび活気を取り戻し、いずれもスクーデリアの近くにデザインオフィスを構える、レッドブルのセカンドチームやハースへの人材流出をフランス人が食い止めるのに役立っているようだ。内部関係者によると『SF-24』が走り始める以前から、マラネロには大きな楽観主義とモチベーションがあったという。

左からシャルル・ルクレール、フレデリック・バスール代表、カルロス・サインツ
ジョン・エルカン(フェラーリ会長/左)とカルロス・サインツ(右) 2022年F1第5戦マイアミGP

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