ラミン・ヤマルが大幅更新の最年少ドブレーテ記録…トップ5の過半数が“ラ・マシア”出身者に!

先週末、ラ・リーガで偉大な記録が生まれた。バルセロナの若きウィンガー、ラミン・ヤマル(16歳)がグラナダ戦で2ゴールをマークしたのである。

ヤマルは次々に最年少記録を打ち立てている。昨年4月に「15歳290日」でピッチに立ってバルセロナのラ・リーガ最年少出場記録を更新すると、10月のグラナダ戦ではネットを揺らして「16歳87日」でラ・リーガの最年少ゴール記録を樹立。そして今月11日にもグラナダ戦でスタメン出場して前半14分に先制ゴール。その後、一時は2-3と逆転されるも、80分に同点ゴールを決めてチームを救って見せたのである。ラ・リーガでの最年少記録となる「16歳213日」での1試合2ゴールだ。

こうして新たな記録を生み出したヤマルだが、彼が塗り替えたラ・リーガにおける1試合2ゴール、いわゆる“ドブレーテ”の最年少ランキングが超豪華なので紹介しよう。こちらがトップ5だ。

[写真]=Getty Images

■5位:ラウール・ゴンサレス(レアル・マドリード) 17歳209日

5位にはレアル・マドリードの歴代最多出場記録を持つ偉大なストライカーがランクインしている。マドリードで生まれ育ったラウール・ゴンサレスは、地元のクラブで頭角を現すとアトレティコ・マドリードに誘われて同クラブの下部組織に入団した。しかし、アトレティコがコスト削減のためアカデミーを廃止したことにより、15歳の時にレアル・マドリードに移ることに。そして白い巨人でプロキャリアをスタートさせるのだが、その時には再びアトレティコから誘われていたという。それでも当時レアル・マドリードを率いていたホルヘ・バルダーノ監督の説得もあってチームに残ると、1994年10月に17歳124日でトップチームデビューを果たした。

その翌週にはラ・リーガで初ゴールをマーク。奇しくも対戦相手は古巣のアトレティコ・マドリードだった。こうしてすぐに自分の地位を確立したラウールは、リーグ戦10試合目の出場となった1995年1月22日のセルタ戦で記録を打ち立てる。元チリ代表FWイバン・サモラノと2トップを組んで先発出場すると先制点をゲット。後半には現在パリ・サンジェルマンを率いるルイス・エンリケからのパスを沈め、当時の最年少記録となる「17歳209日」でドブレーテを達成した。

■4位:ボージャン・クルキッチ(バルセロナ) 17歳208日

ラウールの記録を13年ぶりに塗り替えたのは、日本でもプレーすることになるボージャン・クルキッチだ。キャリア晩年に1年半ほどヴィッセル神戸でプレーしたボージャンは、名門バルセロナの下部組織、ラ・マシアの出身。ユース時代には通算900ゴールも叩き出して“次のメッシ”と期待された早熟な才能は、2007年に「17歳19日」でデビュー。当時のクラブ最年少出場記録を打ち立てると、1年目から公式戦48試合12ゴールと結果を残すことに。

そして迎えた2008年3月23日のバリャドリード戦では、怪我のメッシやロナウジーニョの代わりに先発出場。ティエリ・アンリ、サミュエル・エトーと3トップを組んで攻撃をけん引すると、後半に2ゴールをマーク。「17歳208日」でのドブレーテでラウールの最年少記録を1日だけ更新した。その試合でボージャンは2ゴールのほか、エトーとアンドレス・イニエスタの得点もアシストし、全4ゴールに絡んでチームを4-1の勝利に導いた!

昨年引退を発表したボージャン(33歳)は、現在バルセロナで若手を見守るフットボール部門のコーディネーターを務めている。

■3位:フアンミ(マラガ) 17歳115日

3位は今冬にスペインに帰ってきたFWフアンミ(30歳)だ。マラガの下部組織で育ったアタッカーは2010年1月に16歳にしてトップチームデビュー。コパ・デル・レイのヘタフェ戦で後半から出場すると、いきなりネットを揺らす強烈なインパクトを残した。「16歳238日」でのゴールは先月ヤマルに抜かれるまで、今世紀のコパ・デル・レイの最年少ゴール記録だった。

デビューシーズンこそリーグ戦でゴールがなかったフアンミだが、翌2010-11シーズンは第2節にラ・リーガでの初ゴールをマークする。2010年9月12日のレアル・サラゴサ戦で先発出場した「17歳115日」のフアンミは、2ゴール・1アシストの大活躍。ボージャンの記録を塗り替えて見せた。

その後、フアンミはサウサンプトンなどを経て2019年からベティスに所属。今シーズン前半戦はサウジアラビアのアル・リヤドにローン移籍していたが、今冬の移籍市場でスペインに戻ってくると、現在はカディスにローン移籍している。

■2位:アンス・ファティ(バルセロナ) 17歳94日

フアンミの記録を10年ぶりに塗り替えたのは、今季ローン契約でブライトンに加入して日本代表MF三笘薫のチームメイトとなった名門バルセロナの若き才能だ。セビージャの下部組織を経て2012年にバルセロナのカンテラに入所したFWアンス・ファティは、2019年にプロ契約を結ぶと、その1か月後にトップチームデビュー。「16歳298日」でラ・リーガのピッチに立つと、1週間後のオサスナ戦では初ゴール。「16歳304日」のゴールは、ヤマルに抜かれるまでラ・リーガにおけるクラブ最年少記録だった。

1年目から結果を残したアンス・ファティは、2020年2月20日のレバンテ戦でメッシやアントワーヌ・グリーズマンと共に先発出場すると、前半30分にメッシの鮮やかなスルーパスで抜け出して先制ゴール。その2分後にも、メッシのパスを受けて再びゴールネットを揺らしてドブレーテを達成した。「17歳94日」での2ゴールは、当分は破られない記録と思われたが、4年後に塗り替えられることになった…。

■1位:ラミン・ヤマル(バルセロナ) 16歳213日

アンス・ファティ先輩の記録を塗り替えたのはバルセロナの逸材、FWラミン・ヤマル(16歳)だ。冒頭で説明した通り、ヤマルは「16歳213日」で2ゴールを奪って大幅に最年少記録を更新した。ヤマルが次に狙うのは、ホセ・イララゴーリが持つラ・リーガの最年少ハットトリック記録だろう。1934年にスペイン代表の記念すべきワールドカップ初ゴールを決めたことでも知られるイララゴーリは、アスレティック・ビルバオ時代の1930年2月16日にレアル・ソシエダ戦でハットトリックを達成。「17歳337日」での3得点は、94年間も破られていない大記録だ!

それでもヤマルならやってくれそうだ。現在16歳のヤマルは、1年以内にハットトリックを達成すればラ・リーガの最年少ハットトリック記録を塗り替えることができるぞ。

(記事/Footmedia)

【動画】ラ・リーガ最年少ドブレーテ達成のラミン・ヤマル

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