共産党、やまぬ「ハラスメント」批判...現役党員らまた会見 第三者委による検証要求も

共産党で党首公選制の導入を求める書籍を出版したことなどが原因で、古参党員の松竹伸幸氏(69)が規約上最も重い「除名」の処分を受けた問題で、現役党員を含む11人が2024年2月15日、都内で記者会見し、党の対応を改めて批判した。

松竹氏は24年1月に開かれた党大会で再審査を求めていたが却下され、除名取り消しを求めて共産党を提訴する意向を示している。党大会では、田村智子副委員長(当時)が、除名への異論を唱えた神奈川県議を厳しく非難。党は否定するものの、これが「パワハラ」だとする声は根強い。登壇者からは、この一件以外にも党内にパワハラやセクハラがあるとして、外部の有識者を入れた第三者委員会の立ち上げを求める意見も出た。

「党内の批判者に対する敵意と排除の意思をむき出しに」

党員らによる記者会見は、党大会直前の1月11日に次いで2回目。今回参加したのは、現役党員9人、除籍された人1人、離党した人1人の計11人。そのうち5人が1月の記者会見にも出席した。会見は2回とも匿名で開かれた。

党大会で特に波紋を広げたのが、松竹氏をめぐるやり取りだ。1月15日から18日にかけて行われた党大会の終盤、田村智子副委員長が委員長に選出された。16日の討論では、神奈川県の大山奈々子県議団長が除名処分に異論を唱えたのに対し、田村氏が18日の党大会結語の討論で、大山氏の異論は党外の声が根拠になっていることを挙げて

「あまりにも党員としての主体性、誠実さを欠く発言」

などと批判。田村氏はこの発言の後に委員長に選出されたが、多くの党員の前で異論を「面罵」したことについて「パワハラ」だとする批判が噴出。党は繰り返しパワハラを否定しているが、記者会見ではパワハラだとする見方が相次いだ。

会見進行役の男性Fさんは1月の会見で、党大会では異論に耳を傾けるような運営を望んだにもかかわらず、党中央は「全く答えることがなかった」と批判。

「党内外からの批判や進言に対して、これを全て反共攻撃と退け、党内の批判者に対する敵意と排除の意思をむき出しにする異常な大会運営に終始した」

とした。

党中央の支持者らが「ネトウヨ」化?

さらに、党中央を批判する人に対して、「ネトウヨ」が行うような激しい攻撃が行われていると説明した。

「党大会のあり方に批判的な議員が肩身の狭い思いをしたり、『このような党ではやってられない』と、離党を検討する議員も出始めている。またSNSで党中央批判をする党員や支持者の投稿に対して、党中央を妄信的に支持する人たちが反論にならないような反論、罵倒・粘着をするというSNS上の事態が発生している。これはまるで安倍政権の際にネット右翼と言われる人たちが、安倍政権に対する批判者にしたようなことと同じような振る舞いをしていると指摘されている」

こういった現状が、それ以外の「党内ハラスメント」の温床になっている、とも指摘した。

「このような党中央の姿勢が党内ハラスメントの温床になり、議員団内のハラスメントが起きたり、党内でのセクシャルハラスメント、それ以上に酷い性暴力なども数々起きている。これらに対して党中央は全く指導力が発揮できていないという現状がある」

その上で、田村氏の発言のパワハラとされた部分の撤回と、大山氏への謝罪を要求する、とした。

動画を改めて見て声詰まらせ「悔しくて泣けてきまして...」

他の登壇者も、次々に田村氏の発言について言及した。Aさんは「新委員長の門出になる仕事がパワハラから始まったというところを、非常に残念に思っている」。Cさんは、声を詰まらせながら、動画を改めて見たことを「悔しくて泣けてきまして...」。田村氏の発言が「結果的に公開糾弾、公開パワハラにつながってしまった」などと話した。

Eさんは、田村氏の委員長就任によって、さらに党内の言論環境は過酷になるとみている。

「(田村氏は)これからますます締め付けが厳しくなるのではないか...というふうに、逆におびえざるを得ないような、『あれはパワハラではなかった』と、加害者がよく言うようなことを重ねておっしゃっている」

その上で、第三者委員会による検証が必要だとした。

「第三者委員会を立ち上げて、きちんと検証すること、これは田村智子さんのハラスメント疑惑だけではなくて全国で起きている問題をきちんと可視化して、第三者委員会での専門家も入れて検証することを求めたい」

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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