女性のパンスト離れも一因…製造のスカラー社が自己破産へ 鹿児島・伊佐工場70人に解雇通告 誘致企業として半世紀、市は対策本部設置し再就職支援へ

破産手続きへ向け、操業停止したスカラー九州工場=15日、伊佐市菱刈南浦

 パンティーストッキングなどを製造するスカラー(本社・大阪市)が、経営悪化に伴い自己破産手続きの準備を進めていることが15日、分かった。鹿児島県伊佐市菱刈南浦の同社九州工場は14日、全従業員約70人に解雇を通告、操業を停止した。負債総額は約18億円。

 スカラー社は1970年設立。県の誘致企業として同年、旧菱刈町に九州工場を開設し、71年に操業を開始した。静電気遮断など高付加価値商品や、高い縫製技術を生かしたスポーツ補助商品などを製造してきたが、海外製品との競合や女性のパンスト離れ、原材料費の高騰などで資金繰りが悪化した。

 複数の関係者によると、伊佐の工場では14日午前に従業員が集められ、破産方針と解雇が伝えられた。工場には下請けの山野ソーイングも入居しており、パート従業員約20人も出勤停止を命じられたという。

 同工場では、地域への感謝を込めた「パンスト祭り」を開催し、新型コロナウイルス流行初期には品不足だったマスクの生産に着手するなど、半世紀にわたって地域に根付いた事業所だった。

 事業停止を受けて市は「関連企業雇用対策本部」を立ち上げた。担当者は「再就職の支援も含め、従業員の生活に影響がないように支えたい」としている。

〈別カット〉破産手続きへ向け、操業停止したスカラー九州工場=15日、伊佐市菱刈南浦

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