特養入所者殺人未遂、41歳男に執行猶予判決 福井地裁、危険な犯行もくむべき事情

 2022年9月、勤務していた特別養護老人ホームの入所者の頭部にビニール袋をかぶせて殺害しようとしたとして、殺人未遂の罪に問われた福井県勝山市、会社員の男(41)の裁判員裁判の判決公判が2月15日、福井地裁であった。内山孝一裁判長は懲役3年、執行猶予5年(求刑懲役4年)を言い渡した。

 内山裁判長は判決理由で「死をもたらしかねない危険な犯行。認知症の被害者への対応が重荷となり、介護福祉士としてあるまじき選択をした」と非難した。一方で、相談した上司に取り合ってもらえないなど「被告人だけのせいであるとは言いにくい事情もある」と指摘。被害者の次男が刑の減軽を求めていることもあり、執行猶予が相当とした。

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 弁護側は判決後の取材に対し、控訴しない意向を示した。

 判決などによると、22年9月21日午前0時ごろから同1時15分ごろまでの間、同県永平寺町の特別養護老人ホームで、入所する90代男性の頭にビニール袋をかぶせ、ガスを注入するなどして殺害しようとした。

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