罹災証明の迅速発行システム開発へ AIやドローン活用し、被災者を早期救済

点群技術を用いて表現した市街地の風景(DiO提供)

 罹災証明書を迅速に発行するシステムの開発に、京都大防災研究所と京都市内の企業が乗り出している。家屋の損壊状況の確認を、人工知能(AI)やドローンを活用して調べる仕組みで、実現できれば被災者の早期救済につながるという。

 罹災証明書は、地震や洪水などで建物が被害を受けた際、応急仮設住宅の提供や住民税減免などの公的支援を受けるために必要。現在は、自治体職員が「全壊」「大規模半壊」などの区分を目視して判断しているが、大規模災害の場合、申請の殺到で発行に時間がかかっている。今回の能登半島地震でも受け付けが順次始まっているが、他の自治体から派遣された職員の応援が必要な状況だ。

 新システムの研究は、京大防災研とIT企業「DiO」(京都市上京区)が2023年10月に始めた。ドローンを使った測量などで取得した建物の情報を数多くの点の集合「点群」として示す技術を用いて、被災前後の建物の状況をそれぞれ評価する。建物の状況や被災区分を数値化することができれば、証明書の発行にかかる業務量を大幅に削減できる。

 研究期間は25年3月までで、現在は研究協力に応じてくれる自治体を募っている段階。DiOでプロジェクトを担当する佐藤博喜さんは「罹災証明書の基準をデジタル化できれば、発行に携わっている職員が、早期復興に向けた別の業務に関わることもできる。3次元データの活用可能性を探りたい」と話している。

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