一関の白い農地、なぜ拡大? 行政側、問題先送り/前例踏襲の体質

盛り土する理由を記した現状変更届のコピー。「耕作の利便」や「地域の担い手への貸し出し」がうたわれている(一部加工しています)

 一関市内に点在する石灰の石や砂で盛り土された白い農地。追加調査で違反転用の疑いは16ヘクタールを超えた。なぜ、こうした工事が繰り返されてきたのか。原因を探ると、所有者側が工事の目的をごまかして届け出、受理した市農業委員会も農地チェックが機能不全に陥っていた実態があった。問題解決の先送り、前例踏襲といった行政側の体質が違反疑いの拡大を招いた構図が浮かび上がる。

 「農地が低いため、盛り土を施すことにより耕作の利便を図りたい」「利便性の高い土地にすることにより将来的に地域の担い手に農地貸し出しを図ることも考えている」

 2019年、東山町の田を盛り土する際、農業委員会に提出された農地現状変更届出書。岩手日報社が入手した一通にはこう記されていた。しかし、工事を終えると、田の表面は砂や石で覆われ、草木の生えない白い農地に変わっていた。

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