佐賀玉屋、新たな百貨店の姿模索 ホテルや飲食の経験生かし

佐賀玉屋の新本館複合ビルの完成イメージ。5~10階はホテルになる(佐賀玉屋提供)

 佐賀のランドマークとして90年にわたり、親しまれてきた県内唯一の百貨店「佐賀玉屋」。全国で百貨店の閉店が相次ぐ中、事業を引き継ぐ「さくら」の新経営陣は15日の会見で、地域活性化を視野に、培ってきたホテルや飲食などの事業を生かしながら、新たな百貨店の姿を模索していくことを強調した。

 県庁で開いた会見は山越悠登社長、さくらの社長で佐賀玉屋の会長を務める浅井政則氏、玉屋前社長で相談役に就いた田中丸雅夫氏が出席し、計画の説明と質疑で1時間に及んだ。

 さくらへの事業譲渡が具体的になったのは約1年前。以来、山越氏と共に足しげく佐賀へ足を運んだという浅井氏は「(玉屋創業の)220年の歴史、佐賀のど真ん中にあるポテンシャルを肌で感じ、武者震いをするような感覚を持った」。山越氏は佐賀大卒業後、故郷の京都に戻り「佐賀の良さが伝わっていない」と感じていた。「県内外からの観光客に、佐賀のいいもの、サービスを提供したい」と述べ、中心市街地の活性化にも意欲を示す。

 2017年ごろから経営権の譲渡先探しに奔走していた田中丸氏は「さくらのグループに入ることは、いろんな事業にトライもできる。佐賀玉屋が新たな事業を発掘することもできる。本当に感謝している」。ゆっくりと言葉を紡いだ。(福本真理)

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