将棋・行方九段(青森県弘前市出身)通算700勝 「一局一局大切に千勝へ鍛え直す」

 将棋の行方尚史九段(50)=青森県弘前市出身=が14日、東京都の将棋会館で指された順位戦B級2組の対局で渡辺和史六段に勝ち、通算700勝(481敗)を達成した。青森県出身棋士の700勝到達は、昨年3月の先崎学九段(53)=青森市出身=に続き2人目。

 渡辺六段との対局は相掛かりの戦型で進み、中盤、工夫した手が効果を発揮せず苦しい展開に。耐える状況が続いたが渡辺六段の誤算もあって粘り合いの形となった。互いに持ち時間を使い切る長時間の対局にもつれ込み最終盤で勝負に出た後手の行方九段が午後11時35分、118手で押し切った。

 行方九段は一夜明けた15日の東奥日報の取材に「最後まで勝敗が分からない中、力を出せてよかった」とコメント。「正直(700勝に)感慨はそれほどない。(2018年の)600勝から時間がかかり、年齢も重ねた最近は厳しさが増している。一局一局を大切にし、通算千勝を見失わずに鍛え直していきたい」と語った。

 行方九段は1973年弘前市生まれ。故大山康晴十五世名人門下。93年10月にプロ入りし2007年、順位戦A級に昇級した。いったん降級した後、13年にA級に再昇級。14年度の第73期名人戦では県人初の名人挑戦者となった。A級通算6期、竜王戦は1組通算7期在籍。

© 株式会社東奥日報社