にこにこ温泉しうら、浴槽造り直し 青森県五所川原市、施工業者と契約解除

 浴槽の漏水で青森県五所川原市相内の健康増進施設「にこにこ温泉しうら」のオープンが延期となっている問題で、市は15日、工事の完成が見込めないとして施工業者との工事請負契約を9日付で解除したことを明らかにした。市議会に説明した。市は今後、業者に対し違約金の支払いを求める方針。開業の時期は「未定」としている。

 この問題を巡っては、原因解明のため浴槽のタイルを一枚一枚剥いで調べる「破壊検査」を行う方針の市と、「設計図通りに工事を行った。破壊検査は必要ない」と主張する業者が対立し、膠着(こうちゃく)状態が続いていた。

 市によると、昨年12月、工事を完成させるよう求める「催告書」を業者側に送付。これに対し、設計図通りに工事を完了させた-との業者の主張が変わらなかったことから、工事請負契約の条文にのっとり、契約解除に至ったという。

 市は、工事請負代金約1億6500万円の1割と規定されている違約金を業者側に求める。市は工事の完成度をあらためて調査後、未完成だと判定した部分の工事相当分を除いた工事請負代金を業者に支払う予定。市が既に社会福祉協議会に支払っている施設従業員などへの補償額をその支払代金からさらに差し引くことになるという。その後、市は破壊検査を実施し、新たに発注する工事で浴槽を造り直す方針。

 にこにこ温泉しうらは、昨年8月のオープン予定だったが、同年7月に男女計六つある浴槽の水漏れが判明。直前で延期された。市民生部の黒川隆二部長は取材に「遅れてしまい大変申し訳ない。早く開業できるよう努める」と話した。

 一方、施工業者の代表は東奥日報の取材に対し「一方的な契約の解除だ。こちらから話し合おうと投げかけても市から返答はなかった。市が今後提示してくる工事請負代金の支払金額次第では、訴訟を起こすことも考えている」と語った。

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