ミシュラン店や老舗店…福井県屈指の料理人が被災地石川で炊き出し、支援団体「ツナグフクイ」結成

避難所でへしこのおにぎりを調理するツナグフクイのメンバー=1月28日、石川県七尾市

 能登半島地震の被災者を支援しようと、福井県内の有名飲食店の料理人やシェフら有志が支援団体「ツナグフクイ」を結成した。1月下旬にはメンバー10人が石川県七尾市の避難所で炊き出しを行い、福井の食材をふんだんに取り入れたおにぎりや温かいみそ汁約200食分を被災者に提供。メンバーは「料理で被災者の心を満たしたい。同じ北陸の仲間として、一日も早く復興できるように応援したい」と話し、今後も活動を継続していく方針。

 ツナグフクイの代表は、「ミシュランガイド北陸2021特別版」で最高ランクに次ぐ二つ星に輝いた福井市の日本料理店「御料理 一燈(いっとう)」のオーナーシェフ倉橋紀宏さん(45)。能登半島地震の発生直後から「料理人として何かできないか」と支援を考え、知り合いの料理人らに声をかけて1月12日に結成した。

 参加店は今月14日現在で計12店。一燈とともにミシュランガイドで二つ星を獲得したすし店「鮨(すし) 十兵衛」(福井市)、一つ星の日本料理店「料理屋みや崎」(同)や「馳走 えん」(同)のほか、フランスの美食ガイド本「ゴ・エ・ミヨ」に掲載されたすし店やレストラン、江戸時代から240年以上続く老舗和菓子店などが名を連ねる。

 メンバーで支援策を協議する中、「まずは温かくおいしい食事を届けたい。避難所は高齢者も多く、体に優しい料理にしたい」(倉橋さん)と、1月28日に七尾市の避難所となっている中島小で炊きだしを行うことを決めた。

 メンバーは当日、約3時間かけて同校に到着し、校内の家庭科室を使って調理。使用できる水が限られる中、おにぎりは事前に炊いた県産コシヒカリを使い、具材にへしこと越前わかめの2種類を用意。みそ汁は昆布からだしを取って県産のみそ3種類をブレンドし、厚揚げや里芋、岩のりを入れた。避難所にあったレンコンなどの野菜をきんぴらや浅漬けに調理した。

 ツナグフクイに参加する黒龍酒造(永平寺町)の酒かすを使った甘酒も用意し、避難者やボランティアらに振る舞った。避難者からは「おいしくてほっこりした」と笑顔をもらったという。

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 ツナグフクイは、継続的な被災地での炊きだしや県内でのチャリティー活動を検討しており、飲食店や生産者、企業に協力を呼びかけている。倉橋さんは「飲食店同士でつながり福井の『食の輪』を広げ、石川県や他の災害支援にもつなげていきたい」と話している。問い合わせは同事務局のメール=contact.tsunagufukui@gmail.com

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