H3ロケット2号機 あす17日朝打ち上げ 1年ぶりの再挑戦、ファン心待ち 馬毛島基地整備影響?宿不足で苦労も

ファンが見守る中、射点に移動するH3ロケット2号機=16日午後3時15分ごろ、南種子町のロケットの丘展望所

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は17日朝、新型基幹ロケット「H3」2号機を南種子町の種子島宇宙センターから打ち上げる。昨年の1号機では発射直前の中止、飛行中の指令破壊と受難が続いた。ファンは約1年ぶりの再挑戦を心待ちにする一方、歴史的瞬間に立ち会うために苦労も強いられた。種子島は慢性的な宿泊施設の不足が続き、キャンプや車中泊でしのいでいる。

 16日午後、機体は組み立て棟から射点に移され、センターの一角では約50人が特徴的なオレンジ色が映える姿を見守った。東京都の会社員田中美奈子さん(42)は、長男木太知君(5)と初めて見学。宿泊先を確保できず、打ち上げ見学場でもある公園でテントに泊まる。「テント道具を担ぎ、バスでここまで来るのは大変だったが、成功を見届けたい」

 宿不足の背景には、西之表市馬毛島で進む自衛隊基地整備があるとみられる。種子島の宿泊施設に滞在している工事関係者は、防衛省によると昨年末時点で約160人。島内全施設の部屋数は900~1000室とされるものの、ある自治体職員は「工事に付随する業者の利用もあり、実際はあまり余裕がない」とみる。

 打ち上げ予定日が近づくにつれ、島内ではキャンピングカーも見かけるようになった。「初めて見学した6年前と状況が変わった」と話すのは、新潟県から訪れた会社員山賀康平さん(27)。今回は4回目の見学で、宿泊先を確保できた友人を頼って種子島入りした。「レンタカーは何とか予約できたが、空港近くの店だったので高速船から飛行機に切り替えたけど…」と苦笑いする。

 17日の打ち上げ予定時刻は午前9時22分55秒。種子島宇宙センター周辺はおおむね晴れの予報で、JAXAは「準備は順調に進んでいる」としている。

打ち上げに向け射点に移動するH3ロケット2号機=16日、午後3時20分、南種子町の種子島宇宙センター  

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