2月中旬を過ぎるとバラの冬剪定の作業がスタートします。バラ栽培はマニアック化していて難しいことを言い過ぎると思われるかもしれませんが、冬の剪定はそれでもやらなければならない大事な仕事です。一方で、剪定作業が大好きで楽しみにしている人もいるでしょう。筆者も剪定が好きなタイプです。枝を切ったバラは清々しく、まさに将来有望株なのです。
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なぜバラには剪定が必要なの?
剪定とは枝を切って株姿を整えることを言います。特に2月に行うバラの剪定は『冬の剪定』とか『冬剪定』と呼ばれ、バラ栽培の中でも最も重要な作業の一つとされています。
なぜ剪定が必要かというと、バラの枝を切ると切り口の下の部分から新しい芽が出て、それが伸びて新しい枝になります。新しい枝にはフレッシュなよい花が付きます。これが剪定の一番重要な目的で、古い枝から新しい枝に更新してバラを若返らせる目的があるわけです。
次にバラは放置しておくとどんどん背丈が伸び、枝が広がっていきます。これでは人間の目線よりずっと上のほうで花が咲いたりして、私たちがイメージする美しい咲き方とは違ってしまいます。目的の場所、高さに花を咲かせるのも剪定の大事な目的です。
ほかにも古い枝や病気になった枝を取り除くことで株が健康に保て、込み合っていた枝がすっきりとして株の内部まで光が当たるようになり、生育がよくなります。株がすっきりすると病害虫の被害も少なくなります。
バラの樹形によって剪定の高さは異なる
基本的には枝を下のほうで切り詰めれば樹高は低くなり、花は低い位置で咲きます。逆に高い位置で切ると樹高は高くなり、花の咲く位置も高くなります。順調に育っているバラなら、どこで切っても芽は出て、花が付くので、剪定の位置に失敗したからといってバラがだめになるわけではありません。大切なのはどの枝にもハサミを入れることです。
剪定の位置はバラの樹形で決まります。枝が上や斜め上に向かって伸び、株がまとまりやすい木立ち性のバラ(ブッシュローズ)なら以前の1/2~1/3の高さに切り詰めます。ハイブリッドティー、フロリバンダ、株が自立してまとまるイングリッシュローズなどがこのタイプです。品種によって違いはありますが、基本的には剪定が深いと枝数が少なくなり、大きな花が咲きます。浅めの剪定だと枝が多めに残るのでにぎやかに咲きます。
最近とても多い、半つる性のバラ(シュラブローズ)はどう仕立てるかで剪定のやり方が異なります。支えなしにコンパクトな姿にしたいのであれば、株の1/3を切り詰める浅めの剪定にします。つるバラのように枝を伸ばして這わせたいときは枝先を軽く切る程度にとどめます。
なお、自分のバラのタイプがわからず、どうしても切る位置が決められない場合は、自分の膝上のあたりで切っておけばひとまず安心です。
剪定に必要な物と具体的な切り方
剪定時には剪定バサミ、園芸用ノコギリ、トゲを通さない手袋、枝を支柱に結わえる細ひもかビニタイを用意します。
手順としては、まず枯れ込んだ枝、病害虫の被害にあった枝、古くなって花が付かない枝を切りとります。株元で灰茶色になっているようなごつごつした古い枝で、途中からよい枝が出ていない場合は株元からノコギリで切り落とします。枝が混み合っていて、株の内側に向かって伸びている枝も切り落とします。
不要な枝の整理が終わったら、前段で述べた目的の高さにハサミを入れます。
ハサミを入れる位置は枝をよく見て決めます。ぷくっとふくらみかけている芽や、赤い筋がふくらみかけているように見える部分の上、5~6㎜のところをやや斜めに切ります。
枝の外側にある芽を外芽、内側にある芽を内芽と呼びますが、外芽の上で切るのが原則。こうすると枝が株の外側に向かって伸び、形がまとまるからです。しかし、株の内側がすいていたり、好みの形にしたいときは内芽で切っても構いません。
次回はつるバラの剪定と誘引の説明をします。