鶏肉の購入量と支出額、大分市が2年連続日本一 23年家計調査、前年上回る【大分県】

スーパーの陳列棚に鶏肉を並べる精肉チーフの井上侑也さん=大分市王子北町
大分市の鶏肉の購入量と支出額の都市別順位

 鶏肉の購入量と支出額で大分市が2年連続日本一となった。総務省が今月発表した2023年の家計調査の結果、全国の県庁所在地と政令指定都市でトップだった。量と額のどちらも前年を上回った。鳥インフルエンザ流行のあおりを受けて他都市の消費が落ちる中、鳥天や唐揚げ、鶏飯など鶏を使った郷土料理が多い「鶏肉王国」の強さを改めて見せつけた。

 調査は全国52都市の2人以上の世帯が対象。年間に購入した総量と、その金額を世帯当たりで集計した。スーパーや精肉店で販売した生鮮肉が対象で、総菜やテイクアウト、外食は含まれない。

 購入量は前年から592グラム増えて24.129キロだった。23年は鳥インフルエンザの流行に伴う出荷減で値上がりした影響もあり、全国的には前年より170グラムほど減り平均17.949キロにとどまった。大分市は逆に伸ばして他市を圧倒した。

 2位は大型の地鶏「天草大王」で知られる熊本市。大阪、福岡、鹿児島の各市が続いた。

 支出額は2万4141円。前年を1671円上回り、水炊きや焼き鳥で有名な2位の福岡市に1281円の差をつけた。3位以下は、量でも上位だった熊本、大阪、鹿児島の順だった。全国平均は1万8558円。

 2年連続1位は、購入量では13年ぶり、支出額では初めて。

 大分市王子北町のトキハインダストリー春日浦フードスタジアム店は宮崎県や大分県産の鶏肉を扱っている。精肉チーフの井上侑也さん(36)は「購入する人が多く、特売では集客の目玉となっている。寒い時季は鍋用の切り身や手羽元が売れ筋」という。

 井上さんのお薦めは、ささ身に大葉と梅肉を入れた挟み焼き。「さっぱりしていて、いくらでも食べられる。暑い夏場にもぴったり」と話した。

 地場シンクタンクの大銀経済経営研究所(同市)の集計では、大分市は食料費全体に占める鶏肉の支出が2.2%に上り、こちらも全国トップという。

 宮久智子研究員(27)は「鶏肉グルメが食文化として根付いている点が連覇につながった。物価高が家計を直撃する中、比較的安価な鶏肉がこれまで以上に支持された面もあるだろう。高タンパクで低脂質な鶏肉はヘルシー食材としても受け入れられているのではないか」と分析した。

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