皇族が植えた大分市の松、マツクイムシ被害で伐採へ 歴史100年超「本当に残念」【大分県】

閑院宮載仁親王が植樹した松。3月に伐採される=13日、大分市高砂町
伐採される松

 100年以上前に皇族が植樹した大分市高砂町の国道197号沿いの松が、マツクイムシの被害で伐採されることになった。3月に周辺を交通規制して切り倒す。大正時代から県都の移り変わりを見つめてきた由緒ある木が、街の一角から姿を消す。

 松はホテル日航大分オアシスタワーの南側の歩道にある。高さ約8メートル、幹回りは約2.1メートル。周囲を鎖で囲っている。

 日本赤十字社県支部によると、1922(大正11)年に日赤総裁だった閑院宮載仁(かんいんのみや・ことひと)親王(1865~1945年)が来県し、当時同所にあった日赤県支部を訪問した記念に植えた。

 支部は建物の老朽化に伴い、74年に同市千代町の現所在地に移転した。松だけがそのまま残り、跡地は駐車場や道路になった。

 昨年秋、葉の一部が茶色くなっているのを、県の委託で見回りをしていた業者が見つけた。樹木医が診断し、マツクイムシによる松枯れと判明した。倒木や、周辺の松に被害が広がる恐れがあることから伐採が決まった。

 県大分土木事務所によると、作業は3月18日夜から翌朝を予定。天候によって延期する。費用は約40万円。

 日赤県支部の光成大(だい)総務課長(49)は「歴史のある松だけに本当に残念」と話した。近くに立つ、松の由来などを記した「日赤県支部発祥の地」の記念碑も併せて撤去するという。

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