新薬「レカネマブ」の認知症治療開始へ 福島県内初、郡山市の総合南東北病院

 製薬大手エーザイなどが開発したアルツハイマー病の新薬「レカネマブ」を用いた認知症治療が17日、福島県内の医療機関で初めて郡山市の総合南東北病院で始まる。症状の進行を抑え、自立した生活を送れる期間が延びると期待されている。

 レカネマブは病気の原因物質となる脳内の有害タンパク質「アミロイドベータ」を除去することで進行抑制を狙った初の認知症薬。軽度認知症と、その前段階の軽度認知障害(MCI)の人が対象で、2週間に1度の点滴を原則1年半続ける。標準薬価は年間約298万円(体重50キロの場合)。昨年12月20日に保険の適用対象となった。

 厚生労働省のガイドラインは薬を使用する施設の要件として、原因物質の蓄積状況を確認するアミロイドPET検査やMRI検査の実施を求めている。認知症専門医やPET画像を読影できる放射線科専門医の在籍も必須。総合南東北病院によると、県内では現時点で数カ所の病院に限られるという。

 総合南東北病院は17日に70代の患者に薬を投与する予定。他にも投与希望者がおり、各種検査を進める。

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