「頑張れよー」。白い航跡を残して旅立つH3に向け、再挑戦を待ちわびていたファンが一斉に声を上げた。射点から6キロ。鹿児島県南種子町の長谷公園に集まった約1200人は、補助エンジンが分離されるのを見届けると、大きな拍手で順調な飛行を祝った。
兵庫県から訪れた会社経営山田知徳さん(34)は、福岡でキャンピングカーを借り、家族3人で13日に種子島入り。14日には宇宙航空研究開発機構(JAXA)の岡田匡史プロジェクトマネジャーと直接話す機会にも恵まれ、決意を聞いたという。「自分もエンジニアだから苦労が分かる。開発に10年。日本の技術、誇りが詰まったロケットの成功に立ち会えて幸せだ」と目を潤ませた。
土曜日で学校の休みと重なり、島内各地の子どもたちも家族連れで見学場に駆け付けた。西之表市の安城小学校5年、田中希空さんは「すごくきれいに飛んでいった。うまくいって本当にうれしい」と喜んだ。
昨年3月の1号機は発射14分後に「指令破壊」のアナウンスが響いただけに、今回は打ち上げ後も多くのファンが見学場にとどまった。大型スピーカーを囲んで種子島宇宙センターからの通信に耳を傾け、ロケットに搭載した超小型衛星の分離を知ると、ほっとした表情で帰路に就いた。