神戸のエース大迫勇也を完封。川崎のCBの大器・高井幸大が見せた逞しき成長と鬼木達監督との熱いハイタッチ

[FUJIFILM SUPER CUP 2024]神戸 0-1 川崎/2月17日/国立競技場

2月17日、シーズンの開幕を告げるFUJIFILM SUPER CUPが国立競技場で開催され、J1王者の神戸と天皇杯王者の川崎が対戦。

47分、川崎の新戦力SBのファンウェルメスケルケン際がFKのチャンスから相手のクリアをブロックすると、そのボールがゴールに吸い込まれ、これが決勝点となった。

ともにリーグ開幕戦へ弾みをつけたいなか、川崎はアウェーで戦ったACLラウンド16の山東泰山戦(○3-2)から中3日とあって、スタメンを総入れ替え。

そのなかで新戦力の丸山祐市とCBを組んだのが、今オフ、C大阪へ移籍した登里享平から伝統の2番を継承した19歳の高井幸大だ。

神戸の攻撃の中心と言えば、昨季のリーグMVPで得点王の大迫勇也である。その絶対的エースに対し、高井は丸山と連係しながらタイトな守備を披露。

シュートを放たれるシーンもあったが、最後の一線で身体を張り、無失点勝利の立役者となった。

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印象深かったのは試合後の、満面の笑みで鬼木達監督とハイタッチをかわした姿だ。

大迫勇也というリーグ切ってのストライカーを抑えた事実は自信につながり、期待し続けた指揮官としても、彼の奮闘が何より嬉しかったのだろう。

アカデミー育ちのCBは2022年2月に、鬼木監督の下で高校生ながらプロ契約をかわしACLでデビューを飾ると、昨季はリーグ戦14試合に出場。

「短いパスを入れたら相手が食いついたり、コースが空いたりするので、じゃあ今度はこっちに出してみたりだとか、相手を見ながらやっていますね」

そう語るように縦パスを出し入れしながら攻撃を活性化し、常に相手ゴールにベクトルを向けられる、川崎らしいCBとして期待値は高かい。

もっとも継続性と守備面に課題も覗かせ、昨季は一時ポジションを掴むも、その後は出場機会が限られる日々も過ごした。

だからこそ2番を継承した今季は「常に試合に出ること。そしてリーダーシップを取ってやっていきたい」と、常に飄々としながらも、テーマを語っていた姿には成長を感じることもできた。

力強さ、リーダーシップという面で、神戸戦ではその一端を示したと言えるだろう。もっとも大事なのは、この調子を継続できるか。川崎が生んだCBの大器がさらなる成長を見せてくれることに期待したい。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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