52歳でアーティストデビューです。鳥取県女性が手掛けた作品がアメリカ・ニューヨークのギャラリーで展示されることになりました。描かれているのは、棺の中に横たわる人のほほ笑み。独学で絵を描き続けてきました。
13日午前7時の西伯郡大山町。朝から車に荷物を積み込んでいるのは、福留信子さん(52)です。
福留信子さん
「まだなんか本当じゃないみたい。だけど本当です」
福留さんの行先は、アメリカ。
自身の作品が日本人の現代芸術を世界に紹介する新人発掘の公募展に入選し、2月15日からニューヨークにあるギャラリーで展示されることが決まったのです。
入選したのは、棺に横たわりほほ笑む人を描いた作品、「幸せの棺」。
縦223センチ、横66センチの大作です。
闘病生活の末29年前に亡くなった母親が、棺の中で浮かべていた安らかな表情を描きました。
福留信子さん
「とっても悲しかった辛かった闘病生活とか、本人が大変だったこととか、そういう暗い思い出をさーっと晴らしてくれるようなほほ笑みだったんですね」
仏教の五色を背景に火葬場で焼かれ、煙とともに天に昇る場面を表現しています。
幼い頃から絵を描くことが好きで独学で描き続けてきた福留さん。
世界へ挑戦しようと思ったきっかけはSNSで公募展の広告を偶然見かけたことでした。
福留信子さん
「しばらく考えてはいたんですけど、なんか、いけたらいいなっていう気持ちがどんどん盛り上がってきて、とりあえず申し込むだけ申し込んでみようっていう、そのくらいの軽い気持ちで。ん?軽くはないか。ちょっと意気込みはあったかもしれないです」
制作を見守っていた、夫の克信さんは。
夫・福留克信さん
「びっくりしましたね。まさか本当に選に入るというか選ばれるとは思ってませんでした。まったく。これっぽちも」
まさかの入選に驚きを隠せない様子でしたが、信子さんの挑戦を温かく見守っています。
夫・福留克信さん
「自分の好きなように好きなことしたらいいんじゃないかなと思います。だから、これも一つの修学旅行みたいな。子育てが終わった修学旅行みたいな感じかなと私は思っています」
そして、いよいよ出発の時がやってきました。
福留信子さん
「よし、完了。いってきます。」
52歳にして、ニューヨークへの"修学旅行"に出発です。
福留信子さん
「皆さんの応援があって行けるので全部全部その応援の力を使ってきます。ありがとうございます」
ニューヨークでの展示は、2月15日から21日まで。
4月には大山町の退休寺で、初の個展を開催する予定です。