次のG(2月18日)

 移動通信は2030年ごろ、次世代の運用システム「6G」に移る。高速、大容量のデータを通し、人の五感や動作を共有できる最新技術が売りになる。「味覚」を、離れた場所の人と分かち合える時代が来るかもしれない▼通信大手の企業と大学が今冬、味覚再現の共同研究を公開した。「甘い」「塩辛い」「苦い」など五つの要素を分析。別な場で機器がデータを受け、20種類の溶液を混ぜて味を調える。映画やアニメで登場した料理の疑似体験が楽しめそうだ。地酒に常磐もの…。陸海問わず美味ぞろいの本県の味覚を発信する武器にもなれば心強い▼通信システムは10年ほどの間隔で世代交代してきた。45年前に出た自動車電話が第1世代の1Gと称される。後に肩掛け電話が生まれ、小型化が進み、携帯電話の名で世に広まる。現在のスマホは家電や車と接続され、便利な暮らしを支える▼能登半島地震で通信インフラの大切さが再認識された。13年前の震災時、やっとつながった受話器越しの声にどれほど励まされたことか。遠方からの思いを瞬時に、確実に被災者に届ける機能を形を問わず追い求めたい。人と人との心の距離を縮める「7G」につながる。<2024.2・18>

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