大友家の家臣・工藤家に伝わる古文書「奥嶽文書」を後世に 豊後大野市緒方町でフォーラム 【大分県】

県内外から約40人が参加=豊後大野緒方町小原の長谷川集会所
奥嶽文書について解説する河室公康さん
あいさつする工藤公雄代表世話人

 【豊後大野】豊後を治めた大友家の家臣で、奥嶽郷(豊後大野市緒方町南部)に居住して日向国境を守っていた工藤家に伝わる古文書「奥嶽文書(おくだけもんじょ)」を後世に伝えるフォーラムが11日、同町小原の長谷川集会所であった。地元住民や出身者らでつくる保存会(工藤公雄代表世話人)が価値を再認識しようと初めて開催。県内外から約40人が参加した。

 保存会によると、奥嶽文書は1401年から1600年ごろまでに豊後守護職の大友家などから工藤家に送られた奉書、感状、書状など32件。

 フォーラムでは工藤代表世話人(78)が「解読が進み、奥嶽の歴史が見えてきた。どうやって継承すればいいのか一緒に考えてほしい」とあいさつ。

 4年前から解読を進めている同町柚木出身の河室公康さん(78)=熊本市=が講演し、工藤家の初代親氏が奥嶽郷の領主になったことを示す文書(1424年)、天正年間(1573~92年)にカモシカを丹生島城に贈ったことへの礼状などについて解説。「お金で買えない貴重な文化遺産」とした上で、後世に引き継ぐため「散逸しないよう地元に史料館を設けて保存管理する施策が望まれる」と述べた。

 保存会は今後、工藤氏の城館跡と考えられる場所の調査などを検討している。

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