「宝探しできる場所に」 服やおもちゃ、本…飽きない中古品店に 30歳社長の挑戦

従業員から売れ筋商品の説明を受ける福島さん(右)=京都府福知山市・福島文進堂

 「今週買い取ったお薦め品を教えてよ」。中古品を販売する約2千平方メートルの広い店内。福島文進堂(京都府福知山市)の福島裕季さん(30)が、衣料や玩具、楽器、古本などの各売り場を回り、従業員に気さくに声をかける。

 趣味を仕事にしたいと職場を選んだ従業員が多い。何がはやっているのか、なぜ売れるのか。商品知識に詳しい従業員との会話に売り上げにつながるヒントがあるとして、普段からコミュニケーションを大切にする。

 隣接する老舗書店と合わせ、父から事業を引き継いで昨年9月、福島文進堂の社長に就いた。何度訪れても飽きない店づくりを目指し、商品の豊富さにこだわる。「お客さんが宝探しできる場所でありたい」。両手に商品を抱え、レジに並ぶ客に目を細める。

 品ぞろえは中古品の積極的な買い取りで支える。「売りたい人には価格だけでなく、持ち込んだ不要品を全て引き取るかも重要」といい、どんな状態でも受け入れている。

 福知山成美高を卒業後、家業を継ぐため神戸市内の大学で経営学を専攻した。若者の本離れで書店の経営環境が厳しくなる中、父が始めた中古品販売事業を学ぼうと、フランチャイズ加盟する新潟県の中古品販売会社に2016年に入社。店舗の経営を3年間経験し、25歳でUターンした。

 各売り場の販売データを基に毎月、全国約350ある加盟店の中での売り上げ順位の目標を従業員に示す。売り上げ好調な釣り具に着目し、アウトドアブランドの衣料を充実させた19年には、男性向け衣料の年間売り上げがトップになった。

 1880(明治13)年創業の書店も売れ筋の児童書や漫画に力を入れ、経営改善を図る。「今があるのは本屋のおかげ。歴史を守りたい」と話し、多店舗展開ももくろむ。

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