貴重な植物標本ずらり 壱岐・一支国博物館で品川鉄摩展 4月7日まで

品川氏の功績を説明する山内氏=壱岐市立一支国博物館

 長崎県壱岐市の植物学に大きな足跡を残した市井の植物学者、品川鉄摩氏の功績を紹介し、標本246点を展示する第68回特別企画展「壱岐の自然展Ⅱ-壱岐島の海岸植物と植物学者・品川鉄摩-」が、同市芦辺町の市立一支国博物館で開かれている。4月7日まで。
 品川氏は1903年、勝本町出身。28年に教員となり、千葉県内で勤務中に朝ドラのモデルになった牧野富太郎博士の植物採集にも参加するなど積極的に活動した。旧満州から引き揚げ後の47年から壱岐市内で勤務しながら研究を続け、63年には長崎新聞文化章を受章。89年に86歳で亡くなった。
 同展は、品川氏を研究の師と仰ぐ元「島の科学」研究会長で、本年度長崎新聞文化章を受けた山内正志氏(86)が監修した。
 初日の16日は、山内氏が会場の展示を解説。小笠原諸島が北限とされていたシダの一種、熱帯系シダスキヤクジャクを壱岐で発見。当時学会で証明に使った資料や標本も並んだ。学名の一部に「Shinagawae」が付いた、いずれも新種の和名イキノコシダ、イキノベニカンギクの写真や標本など、貴重なものもある。
 なだらかな地形の壱岐ならではの海岸植物のゾーネーション(帯状分布)も写真付きで紹介されている。
 山内氏は「実際に野山で採取した植物を若い人や子どもたちにぜひ見に来てほしい。島外の修学旅行生や指導者も足を運んでもらえれば」と話した。

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