京都府内の自殺者が増加、2023年は410人 経済的な要因か、50代と男性の増加目立つ

京都府が自殺抑止のゲートキーパー研修の受講を呼びかけるために公開している漫画の表紙(府提供)

 京都府内で2023年に自殺した人の数が410人になり、8年ぶりに400人を超えた。前年に比べ35人(9.3%)増で、50代の増加が目立ったことから、府は新型コロナウイルス禍による「息切れ倒産」など経済的な要因が影響したとみている。府は「非常に危機感を持っている。早急に対策をとりたい」としている。

 警察庁からデータ提供を受け、厚生労働省がまとめた。京都府内の自殺者は2000年の696人が最多で、相談窓口拡充といった対策を進めた結果、近年は減少傾向にあり、16年以降は300人台だった。

 昨年で際だったのは50代と男性の増加だ。50代は26人増の84人で全世代で最多となり、全体の増加数(35人)の7割超を占めた。男性は28人増の276人、女性は6人増の133人、不明1人だった。

 府は、コロナ禍で倒産件数が増加している影響とみる。公的支援が相次ぎ終了したことで、23年に倒産した府内の企業(負債総額1千万円以上、法的整理のみ)は前年比71件増の302件と、10年ぶりに300件を超えた(帝国データバンク京都支店調べ)。府地域福祉推進課は「50代は会社で責任ある立場を務め、転職には苦労する年代でもあり、倒産するとショックは大きい。家庭でも子どもの教育費がかさみ、両親の介護で悩む時期とも重なる」と推測する。

 このため府は、悩みを抱える人に気付いて対応する「ゲートキーパー(命の番人)」の養成に力を入れている。自殺者の増加が目立ち始めた昨年秋以降、中小企業の団体を訪問して従業員に研修を受けてもらうよう、働きかけている。府が実施する養成研修の本年度の参加者は889人(1月末)に上り、担当者は「一人でも多くの人がキーパーとなり、悩んでいる人の支援につなげてほしい」としている。

 全国の自殺者数は前年比63人(0.3%)減の2万1818人。10万人当たりの自殺者数は17.5人だった。

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【主な相談先】

 京都府自殺ストップセンター

 0570(783)797

 京都いのちの電話

 075(864)4343

 チャイルドライン(18歳以下)

 0120(99)7777

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