「レプトスピラ症」という病気をご存じですか? 元々はネズミの尿によって汚染された水の中に存在するレプトスピラ菌という細菌による人獣共通の感染症です。今回はこの感染症について紹介します。福井県獣医師会 開業部会 山田動物病院(福井県福井市)加山英院長
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レプトスピラ症は、犬がネズミの尿が含まれるような河川の水を飲んでしまったり、泳いだ時に傷ついた皮膚などからレプトスピラ菌が感染し、症状が重い場合には死に至る怖い病気です。また、この病気は多くの種類の動物が感染し、ヒトも感染し発症します。ただし、猫は例外的に感染しても症状がほとんど出ないといわれています。
犬が感染したら…どんな症状でる?
犬がレプトスピラ菌に感染すると、症状をほとんど出さない軽度なものから多臓器不全および死亡に至ることもあります。近年、犬のレプトスピラ症で最もよく見られるのは急性腎臓損傷でそれによる症状がみられることが多いです。具体的には発熱、倦怠感、食欲不振、嘔吐、脱水、出血などです。
「レプトスピラ症」の治療法、予防法は?
主な治療は、抗生物質の投与と様々な対症療法が行われますが、前述したとおり、症状が重い場合には治療しても残念ながら死亡するケースもあります。
予防に関してはワクチンが存在します。一般的に7種以上のワクチンにはレプトスピラが含まれています。ただし、難しい話になりますが、レプトスピラには血清型という型が存在し、血清型が違うと予防効果が著しく低下します。
感染しやすいのはいつ?
この病気は台風や大雨のあとに発生しやすいと言われており、実際に9月から11月に発生が多くみられます。
以上のことを踏まえると、飼育されているワンちゃんがどのような環境で生活しているかを考慮し適切なワクチンを選択することが大切です。また、河川や田んぼの水、雨が降った時の水溜りなどは、感染源になりうる危険性を持っています。散歩中、ワンちゃんがこうした不衛生な場所に近づかないよう、飼い主が注意しましょう。
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