電子処方箋導入わずか6% 運用1年、費用負担も要因

厚生労働省

 紙の処方箋を電子化した「電子処方箋」の医療機関と薬局でのシステム導入率が、運用開始から1年で約6%にとどまることが19日、厚生労働省への取材で分かった。導入費用がかかることや、患者からの認知度の低さが要因とみられる。政府は2025年3月までに約23万施設での導入を目指しており、補助金拡充などで普及を後押しする。

 電子処方箋は、医療DX(デジタルトランスフォーメーション)推進の一環で昨年1月26日に運用が始まった。今年2月11日時点で導入済みなのは、全国の医療機関や薬局のうち1万3429施設だった。

 電子処方箋は、医師が処方内容をサーバーに登録し、患者が薬局でマイナンバーカードか健康保険証を提示すると、薬剤師がデータを確認し薬を渡す仕組み。患者の処方履歴が一元化され、複数の医療機関や薬局で情報が共有できる。重複処方や飲み合わせの悪い薬があれば医師らが通知を受け取れる機能もある。

 普及の課題の一つがシステム導入費用だ。病院で600万円、診療所や薬局で55万円程度が必要で、順次補助を拡大している。

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