FRBの利下げ急がない方針、1月PPIが改めて正当化

[16日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が示唆している利下げ開始を急がない方針を改めて正当化する材料が16日に登場した。

この日発表された1月の米卸売物価指数(PPI)は、変動の大きい食品・エネルギーを除くコアベースの前月比上昇率が0.5%と予想を超えたため、今月末に明らかになる1月の個人消費支出(PCE)物価指数を上振れさせ、FRBの様子見期間がより長くなる公算が大きい、とエコノミストはみている。PCE物価指数は、FRBが政策運営で重視している物価指標だ。

シティのアナリストチームは、コアPCE物価指数上昇率が6カ月ベースで従来の1.9%から2.4%に跳ね上がると試算し、「問題化する」事態だと指摘。「われわれは最初の利下げが6月になるとの予想を維持しており、より高い金利がより長く続くことで景気後退の蓋然性は高止まりする」と述べた。

1月はPPIだけでなく、消費者物価指数(CPI)も予想を上回る伸びとなり、FRBのインフレとの戦いが終わるにはまだしばらく時間がかかることがうかがえる。

FRBは、物価安定が持続するもっと多くの証拠を得るまで、利下げを先送りしたいとの考えを発信している。

16日時点で金利先物が見込むFRBの利下げ開始時期はなお6月だが、その確率はPPI発表前の75%から約65%に低下した。年内の想定利下げ回数は4回、年末の政策金利水準は4.25―4.5%となっている。

FRBが昨年12月に公表した政策担当者の見通しでは、今年の利下げは最低3回だった。最新の見通しは来月19―20日の連邦公開市場委員会(FOMC)の後に明らかにされる。

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