アンバサダー(2月19日)

 仙台藩の支倉常長、米大リーガーの大谷翔平選手、俳優の松岡茉優[まゆ]さん…。時代は大きく異なるが、共通する肩書は?。英語でいう「アンバサダー」だ▼直訳すれば「大使」「使節」「代理人」。支倉は藩を代表して欧州へ派遣された。大谷選手は世界的な企業の価値を、松岡さんは本県の魅力を伝える。いわば「顔」役だ。発信する役割は同じでも、大量の情報を矢継ぎ早に届ける「インフルエンサー」とは似て非なるらしい。企業理念に対する理解や地域への愛着があり、熱量を持って活動する―。これが任命される資格のようだ▼熱い応援を必要とする代表例に、地方路線がある。乗客の減少で、存続が危ぶまれる鉄路は少なくない。JR水郡線では、沿線自治体などが「アンバサダー宣言」を編んだ。住民ら一人一人が、積極的な利用や沿線の盛り上げを誓う。今年で全線開通90周年。大使の活躍が次代へ希望をつなぐ▼松岡さんは今月、「ふくしま知らなかった大使」就任から丸3年を迎えた。「福島の魅力を再発見した」と語る。鉄路ばかりではない。足元に目を向け、眠る地域の知られぬ宝を伝えたい。きょうから、あなたもアンバサダーに。熱血外交が未来を開く。<2024.2・19>

© 株式会社福島民報社