【投資への助言】地方での人材確保急げ(2月19日)

 新たな「小額投資非課税制度(NISA)」が始まり、間もなく2カ月となる。投資に対する国民の関心が高まる中、官民一体で金融知識の普及・向上を目指す「金融経済教育推進機構」が4月に設立される。特定の金融業者や金融商品に偏らず、中立的な立場から資産形成に助言するアドバイザーを認定する。本県をはじめ地方での人材確保と養成に力を注いでほしい。

 投資枠や税優遇の広い新NISAが先月スタートして以来、市場への資金流入は活発化している。しかし、「元本保証がないリスクを認識せずに投資を検討する事例が出ている」との声も金融機関の関係者から聞かれる。勧誘を目的とせず、金融商品の特長や投資の仕組みを身近な場所で紹介する体制整備が求められている。

 証券、銀行など民間団体が中心になって設立する金融経済教育推進機構は政府の認可法人となる。特定企業の利益に関わらない立場から、新NISAや個人型確定拠出年金(iDeCo)などによる資産形成、家計管理や生活設計に助言するアドバイザーを認定し、氏名と保有する資格、経歴、得意分野を公表する。ファイナンシャルプランナーや証券アナリスト、公認会計士、社会保険労務士など幅広い人材を想定している。

 国民から対面、オンライン、電話により原則無料で相談を受ける。業務開始当初、地方では日銀の支店が事務局を務める金融広報委員会の金融広報アドバイザーらを、機構のアドバイザーに認定することが想定されているという。県内ではファイナンシャルプランナー、司法書士、弁護士ら9人が委員会のアドバイザーに登録されている。これから本格的な人選が進められるもようだ。

 資産の形成・管理に関心の高い高齢世代は、電話やインターネットを介してではなく、対面形式での相談を求める例も少なくないとみられる。都道府県ごとに事務局体制を明確にした上で、知識豊富な人材による相談の受け皿を早急に整えてもらいたい。

 国民生活センターには2022(令和4)年度、投資信託に関して約600件の相談が寄せられた。最近の株高は投資熱を高める。トラブルを未然に防ぐ取り組みは急務と言える。(菅野龍太)

© 株式会社福島民報社