アストロスケール、商業デブリ除去実証衛星「ADRAS-J」打上げ成功

ADRAS-Jを搭載したRocket Labのロケット「Electron(エレクトロン)」は23時52分(日本時間)に打上げが行われ、計画通り飛行、その後、高度約600kmにて衛星を分離し、衛星から受信した信号により正常に通信ができることを確認した。

アストロスケールは、大型デブリ除去等の技術実証を目指す宇宙航空研究開発機構(JAXA)の商業デブリ除去実証(CRD2)フェーズⅠの契約相手方として選定、契約を受けて、ADRAS-Jを開発しました。

ADRAS-JはRocket Labのロケット「Electron(エレクトロン)」による打上げ・軌道投入後、非協力物体である日本のロケット上段への接近・近傍運用を実証し、長期にわたり放置されたデブリの運動や損傷・劣化状況の撮像を行う。本ミッションは、実際のデブリへの安全な接近を行い、デブリの状況を明確に調査する世界初の試みだ。これはデブリ除去を含む軌道上サービスにおいて不可欠な要素という。

アストロスケールADRAS-Jプロジェクトマネージャー新栄次朗氏は次のようにコメントする

数年の歳月をかけ設計・開発に携わってきたチームの想いを乗せたADRAS-Jが無事打ち上がり、いよいよ軌道上での運用が始まりました。RPO※3(ランデブ・近傍運用)技術を実証し、実際のデブリへの接近とその調査を行う初のミッションを成功させるべく、より一層気を引き締めて取り組んでまいります。

アストロスケール代表取締役社長 加藤英毅氏は次のようにコメントする。

この度、打上げという大きなマイルストーンの一つを達成することができました。本ミッションで実証するRPO技術は、デブリ除去を含む軌道上サービスの中核となるものです。本物のデブリを対象としてこれを実証することは、当社だけでなく、世界の宇宙産業界にとっても大きな一歩と言えるでしょう。まさに、宇宙のロードサービス時代の幕開けです。ご支援いただいたJAXA、株主、パートナー、サポーターの皆様にお礼と感謝を申し上げるとともに、本ミッションの実現に取り組んできたアストロスケールのチームを誇りに思います。

本ミッションは、ADRAS-J搭載機器のチェック等を行う初期運用フェーズに移行している。これを完了した後、ランデブや近接接近、近傍運用等の技術実証に挑む予定だ。

本ミッションで接近・調査の対象となるデブリは、2009年に打ち上げられたH2Aロケットの上段(全長約11m、直径約4m、重量約3トン)です。これは非協力物体であり、位置情報を発信していないため正確な位置情報を取得できない。そのような状態で、ADRAS-Jは地上からの観測データや搭載センサを駆使して接近を行うとしている。

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