遠野にジビエ加工施設 毘沙門商会、地元のニホンジカ活用

建設が進む遠野ジビエの里。ニホンジカを加工し、商品として販売していく

 岩手県遠野市綾織町の毘沙門商会(及川知也代表)はジビエ加工施設の建設を進めている。5月上旬ごろの開業を見込み、地元で捕獲したニホンジカの加工商品を販売していく。市内の年間捕獲数は5千頭台で推移し、農作物被害は1億円を超える深刻な状況。農家を守るだけでなく、資源の有効活用によるビジネス創出が期待される。

 JR釜石線岩手二日町駅から南東に約100メートル。住宅や製材所が立つ一角が建設地となる。加工施設「遠野ジビエの里」は木造平屋117平方メートルで、処理設備や冷蔵庫、冷凍庫などを備える。4月中旬の完成を予定している。

 肉の品質によって規格を設け、最高の「グルメ」は3歳以下の雄または4歳以下の雌で、捕獲した現場で血抜きをし、1時間以内に施設搬入するなどの基準を定める。市などによると、東京電力福島第1原発事故の影響で遠野のジビエは出荷制限を受けているが、一部解除を国が協議しており、加工施設の開業段階では出荷ができる見通し。

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