「新車の走行を楽しめた」角田裕毅はVCARB01に好印象! 各国メディアは新生チームに明るい展望、カラーリングは最高評価

ビザ・キャッシュアップRB(以下VCARB)は2月8日にアメリカ・ラスベガスで行なわれた新車発表会に続き、15日にはミサノ・サーキットでフィルミングデーを利用しての「VCARB01」のシェイクダウンを実施するなど、月末の新シーズン開幕に向けて着実に準備を進めている。
角田裕毅とダニエル・リカルドの両ドライバーは、フィルミングデーということで周回制限があり、なおかつ特別タイヤを装着しての走行ではあったものの、好印象を抱いたようであり、F1での4年目を迎える前者は、「VCARBでの初走行中は、コース上で素晴らしい気分を味わえました」と語り、以下のように続けた(イギリスのF1専門サイト『PLANETF1』より)。

「とてもスムーズに進みました。昨季と比べて、早くも数段の改善を感じているし、昨年と同じ時期と比べても、明らかに大きな進歩を感じています。良い初走行になったし、新しいカラーリンになった新しいチームで、新しい車を凄く楽しむことができました。車については、ハンドリングがしやすくなり、目立つような問題や強い動きのクセなどは感じませんでした」

「ここまで、とてもポジティブな感じです」と角田に言わしめたVCARB01だが、これを姉妹チームであるレッドブルとの連係を“緊密”にすることで製作したVCARBというチームについて、オランダのF1専門サイト『GPBLOG』は、やはりポジティブな印象を綴っている。

「VCARBはアルファタウリと同じチームではあるが、中身は大きく変わり、フランツ・トストに代わってピーター・バイエルがCEO、ローラン・メキーズが代表に就任。テクニカルディレクターのジョディ・エッギントンはもはや孤独な存在ではなくなり、彼の元にはティム・ゴス(CTO)とギヨーム・カテラーニ(副テクニカルディレクター)が加わり、技術チームは大幅に強化された」

「チームは成熟しており、リカルドも昨季に復帰したチームに対して厚い信頼を寄せている。このオーストラリア人ドライバーは、角田とともに、上位勢を追撃する自信に満ちた、強力なドライバーコンビを形成している。リカルドはさらに、表彰台を獲得して『シューイ(ドライビングシューズでの乾杯)』を行なうことを誓った。これは、レッドブルの姉妹チームにおける彼の自信を示している」
一方、『RN365』は現在、マクラーレンのザク・ブラウンCEOが非難の声明を発したことで物議を醸しているレッドブル系列の2チーム体制に注目し、「イタリア・ファエンツァを拠点とするチームはレッドブルと幾つかのパーツを共有することになるため、一般的な予想では、今季の彼らは2023年よりも大幅に強くなると見られている」と、チームが強化されるとの見解を示した上で、それによって生じる疑問も明らかにした。

「VCARBは今季に大きな期待を寄せており、リカルドは表彰台を狙っている。昨季、終盤のアップデートで大幅な改善を遂げる前には最下位に沈んでいたチームが、それから1年も経たないうちにポディウムを争うようになるのは驚異的であるが、それは本当に彼らが進歩したと言えるのだろうか?」

同メディアは「最も強力なチームが2つ目のチームを所有することは正しいことなのか?」という問題提起をしながらも、VCARBについては「彼らがレッドブルから受け取るパーツの量を考えると、たとえ3位以内でフィニッシュしたとしても、それは本物の表彰台ではないと主張することもできる。しかし同時に、姉妹チームやグループ全体が2つの競争力のあるチームを持つための単なる賢い考え方と見なすこともできる。これは現時点で規則の範囲内であり、あくまでも合法である」とも指摘している。

好成績を残せば、さらなる論争を引き起こすことは必至と見られるVCARBだが、それが現実となる可能性が十分にあるという見方が専門家や各国メディアの間で少なくないのは、この2年間で苦悩の時を過ごしてきたチームにとっては歓迎すべきものと言えるかもしれない。

余談だが、『PLANETF1』は今季発表された全10チームの新型マシンのカラーリングをランク付けし、栄えある1位にVCARBを選定。「彼らは、おそらく最も酷いネーミングに罪悪感を抱き、その償いとして優れたカラーリングを生み出すことを課題としたのだろう」とジョークと皮肉をまじえた同メディアは、「見た目が美しい車からは慰めを得ることができる。トロロッソを彷彿とさせる馴染みあるブルーに幾つかのアクセントが加わり、間違いなく今季最高のカラーリングとなった」と選定理由を明かした。

「最も美しい車」は、そのカラーリングがさらに映えるようなパフォーマンスを発揮して、チームを高みに押し上げることができるか。21日よりバーレーンで実施される直前テストでどれだけ可能性を感じさせてくれるのか、非常に興味深いところだ。なお、前述のカラーリングの全ランキングは以下の通りである。

1位VCARB01、2位フェラーリSF-24、3位メルセデスW15、4位アストンマーティンAMR24、5位キックザウバーC44、6位マクラーレンMCL38、7位レッドブルRB20、8位ハースVF-24、9位ウィリアムズFW46、10位アルピーヌA524

構成●THE DIGEST編集部

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