犬も夢を見るの?意外と知らない犬の眠り雑学

犬は人よりも長く寝ますが、そのメカニズムは意外と知られていない!? 犬の睡眠のメカニズムや「犬も夢を見る?」といった雑学まで、「犬の睡眠」についての興味深いお話を、獣医学博士の枝村一弥先生に伺いました。

イラスト/鬼頭 祈

犬は9~14時間と、人よりも長く眠ります

人の平均睡眠時間は7時間前後。犬は個体差はあるものの、一日のうちで9時間〜14時間ほどと人よりも長く眠る傾向にあります。また、犬は年齢や生活スタイルの変化などで、睡眠時間が大きく変化していくのも特徴です。

睡眠時間に関係する要素とは?

●年齢
人の赤ちゃんがよく寝るように、子犬はさまざまな刺激を受けて疲れやすいので眠る時間は長め。体力が低下しがちなシニア犬は、体力回復のために睡眠時間が増えます。

●体格・犬種
体力の消費が多く回復に時間がかかる大型犬は小型犬よりもより長めです。ハウンド系など、人と働き行動をともにすることが多かった犬種は、睡眠時間が短めの傾向に。

●ストレスの有無
ネガティブな経験をした犬は、ポジティブな経験をした犬よりも睡眠時間が短くなり、睡眠のリズムが乱れるという研究も。ストレスは、犬の睡眠を阻害する一因になります。

●住環境
外飼いの犬は、周囲の音で目を覚ましやすいため、室内飼いの犬よりも短い傾向に。寝床に光や騒音があるか、ほかのペットがいるかどうかも、睡眠時間に影響を与えます。

人は夜間にまとめて、犬は一日のうちにこまめに眠る

多くの人は夜間にまとめて寝ますが、犬は一日のうちにこまめに短い睡眠をとります。昼間よりも夜間のほうが長く寝る傾向にあり、なかでも21時から翌4時は犬がよく寝る、いわゆる〝睡眠ゴールデンタイム〞といわれています。また、留守番が習慣の犬は、留守番中に睡眠時間が増えやすいです。

犬は浅い眠りと深い眠りのほかに「覚醒」を繰り返す

睡眠には浅いもの(レム睡眠)と深いもの(ノンレム睡眠)があり、それを繰り返すのは同じ。ただ、人は90分間隔でノンレム睡眠→レム睡眠を繰り返すのに対し、犬の夜の睡眠は、16分のノンレム睡眠→レム睡眠、そして5分の覚醒(目を覚ます)を繰り返します。覚醒するのは、外敵から身を守るためといわれています。

●レム睡眠とは?
睡眠のなかでも浅い眠りのこと。寝ている状態ですが、眼球が動いたり、大脳が活動していて、「体を休めるための睡眠」ともいわれます。犬の睡眠では約8割がレム睡眠です。

●ノンレム睡眠とは?
深い眠りのこと。筋肉はゆるみきっていないものの大脳の働きは低下している状態で、「脳を休めるための睡眠」といわれています。犬も人も睡眠直後はノンレム睡眠に入ります。

イラスト/鬼頭 祈

犬も人と同じ原理で夢を見る

犬も人と同じように夢を見るといわれています。夢は記憶の整理の過程で見るものなので、飼い主さんとの夢を見ている可能性も! 睡眠時に足を動かしたり、吠えるしぐさをするのは夢の中の行動を現実でしているのかもしれません。

犬にも夢遊病やナルコレプシーがある

人の夢遊病のように、睡眠時にしっぽを追ったり、飼い主さんを攻撃するなどの奇行が見られる病気が犬にもありま
す。また、突然眠ってしまうナルコレプシーという病気もあり、犬では食事や遊びなどで感情が高まったときに、急に眠ることが多いそう。

イラスト/鬼頭 祈

犬も人と同様、睡眠の質が落ちると体調不良や病気につながるおそれもあるそう。安心して眠ることができる環境を整えてあげたいですね。

お話を伺った先生/日本大学生物資源科学部獣医学科教授、博士(獣医学) 枝村一弥先生
参考/「いぬのきもち」2022年8月号『真夏の犬の睡眠のすべて』
イラスト/鬼頭 祈
文/いぬのきもち編集室

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