『コーヒー2050年問題』 ウエシマコーヒーフーズ元社長が危惧 「地球温暖化で豆がとれなくなる」

神戸でコーヒー(珈琲)関連事業を展開する会社のトップが、『コーヒーの2050年問題』について、ラジオ番組で持論を展開しました。

世界初の缶コーヒーは神戸発だった? 創業者の「もったいない精神」が誕生のきっかけ?

株式会社ウエシマコーヒーフーズ元代表取締役社長の上島一泰さん。現在はIBAO株式会社の代表取締役を務めています。

長年、コーヒーに携わってきた上島さんも、コーヒーの今後を危惧する1人です。

栽培地域が限られる植物として知られる、コーヒー。気温や降雨量など、さまざまな条件があるなか、栽培に適した土壌を持つ地域(北緯25度、南緯25度の一帯)は『コーヒーベルト』と呼ばれ、現在ほとんどのコーヒー豆がこの地域で栽培されています。

国際調査機関「WCR(ワールド・コーヒー・リサーチ)」は、世界の流通量の半分以上を占めるアラビカ種について、「地球温暖化が進めば、2050年には半減する可能性が高い」と指摘。上島さんいわく、「温暖化が進むと、今より標高の高いところへ行かないと(コーヒー豆が)とれなくなる」といいます。

地球温暖化による気候変動の影響で、コーヒー豆の栽培地が減少。これこそが、コーヒー業界で懸念されている『コーヒー2050年問題』です。

課題解決に向けて取り組まれている対策のひとつとして、上島さんは「アグロフォレストリー」=森林農法に言及。コーヒーの苗を植える際に、ほかの作物の木も同時に植えることで山を緑化する栽培方法で、「メキシコでは国策として推進されている」と紹介した上島さん。さらに、「森のなかで自然が循環するようにしている。大きな樹の下に植えることで暑さも防げるし、落ち葉は肥料にもなる。鳥が来て虫を食べてくれるし、生態系が循環する」と解説しました。

さまざまな対策が講じられるなか、業界内はジレンマも抱えているようで、上島さんは次のように語りました。

「化学肥料や農薬をできるだけ使わずに生態系を大事にしながら、有機栽培のコーヒーを広めようとしている。しかしその反面、これだけコーヒーが飲まれるようになると、大量に生産しなければならない。そうすると、(化学肥料や農薬を)使わざるを得ない」(上島さん)

※ラジオ関西『アスカツ!』2024年1月6日放送回より

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