女性に性的暴行を加えたとして逮捕・起訴の警視正 留置施設で死亡 監視強化の中なぜ?

女性に暴行を加えたとして逮捕・起訴されていた警視正の男が死亡しました。警察署の留置施設内での自殺とみられており、管理体制に問題はなかったのか、専門家はある時間に注目します。

2月8日に撮影された岩本幸一被告(58)。この9日後、広島中央警察署の留置施設で意識不明の状態で見つかり、死亡しました。

岡山県警から広島市南区の中国四国管区警察局に出向していた岩本被告。売春捜査を装い、女性に性的暴行を加えたなどとして、逮捕・起訴されていました。

広島県警が異変に気が付いたのは、2月17日午後8時すぎ。留置施設を巡回中の警察官が、トイレで意識不明の状態の岩本被告を発見。履いていた”ももひき”を首にかけた状態でした。

県警は岩本被告を自殺などのおそれがある「特別要注意被留置者」に指定。単独で留置し、監視を強めていましたが24時間の対面監視ではなかったということです。

留置施設の実態などに詳しい専門家は、「午後8時すぎ」という時間に注目します。

■一般社団法人 刑事司法未来 石塚伸一 代表理事

「就寝の時間が9時だから点呼したりしている。ひとりで単独室に入っている人については、(警察官の)目は届かない。他の作業しながら見ているからずっと監督していることではないだろう」

さらに、すでに裁判が始まっている岩本被告は、拘置所に収容すべきだったと指摘します。

■一般社団法人 刑事司法未来 石塚伸一 代表理事

「留置は留め置きと書く。長期間身体拘束する施設じゃない。例えば拘置所だったら、医者がいるから救命救急医療もできる」

1月の初公判で、起訴内容を否認していた岩本被告。さらに別の女性への性的暴行などの疑いでも追起訴されていました。

岩本被告が死亡したことで、裁判は打ち切られ、事件の全容解明は不可能になりました。

(宮脇アナウンサー)

あらためて、岩本被告が留置されていた状況を整理します。

岩本被告は単独で留置され巡回中の警察官から部屋の中は見える作りですが、奥にあるトイレは壁と扉で仕切られていて、中の様子は見えないようになっていました。岩本被告はこのトイレの扉に履いていたももひきを引っかけ、自殺を図ったとみられています。

(馬場アナウンサー)

ひも状に結ぶことができるももひきを留置施設の中に持ち込むことはできるのですか?

(宮脇アナウンサー)

県警によると、ベルトやネクタイなど、持ち込みが禁止されているものもある一方、ウエストがゴムタイプのズボンやももひきなどは持ち込みが許されていました。

(森アナウンサー)

さきほど留置と拘置の違い、という話がありました。

留置という中でも県警は岩本被告の監視を強化していたのですよね?

(宮脇アナウンサー)

岩本被告が指定されていた「特別要注意被留置者」とは、自殺や逃走の恐れがあると判断された人物が指定され通常よりも監視を強化します。岩本被告は、警察の幹部という立場から、指定されていました。一方、県警は、巡回の頻度や監視カメラの有無については保安上の理由からコメントできないとしています。

【2024年2月19日放送】

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