「住みやすい街だけど、エンターテインメントが少ない」広島県の転出超過は全国1位

去年、県外転出者と転入者を比較して日本人の県外への転出超過者が最も多かったのは広島県でした。

総務省によりますと、広島県の日本人の去年の転出超過数は7396人で、統計を始めた1954年以降で最多。女性の方がじゃっかん多くなっています。

年代別では20歳~24歳が最も多く、3167人と全体の4割以上を占めています。街の声を聞いてみました。

高校3年
「就職先は県外です。1回は出てみたい」

10代学生たち
「18年、ここに閉じ込められているんで東京に出たいなと思っています」
「遊ぶところが少ない。県内にずっといたら行くところが決まる、テーマパークがない」
「ライブができるスタジアムができたら、有名なアーティストが来てくれる」

福山在住の夫婦
「広島は中途半端に都会だと思う、もっと大阪とか東京に行ったらもっと都会じゃないですか。逆にそっちの方にあこがれがあるかもしれないですね」
「働く先が豊富にあれば意外と人は集まるのかなと思っています」
「(子どもが県外に行くのに抵抗は)ないです。仕方ないです。この子が選んだ道なので」

広島在住(40代)
「さみしいですよね。うちの息子が県外の大学に行くんですよ。今週、受験で。広島の大学はあまり魅力がないと言って出て行きます」

娘(中学2年)
「広島が一番落ち着くので、広島いたいかな」「(母親)嬉しいですね、娘は出したくないので」

広島在住 大学2年
「もし自分が大人になって広島を拠点に活動するとなったら発信も場所としてはしやすいし、住みやすい。一度は県外に出て勉強はしてみたいなってなるんですけど、最終的には広島に戻ってやるのもありかなって今、思っています」

広島在住 50代
「いいところは、こじんまりしているので全部がそこに集まっている感じ。エンターテイメントが素通りする。例えば大阪から福岡とか、広島を飛ばす」

岡山から 20代
「やっぱり岡山より都会です。遊べるところが少ない、広島で遊びとかも完結できたら(人口転出も)減るんじゃないか」

2年前に広島に転勤してきた親子
「広島駅の近くに住んでいるが、都会過ぎず、街の喧噪から離れているので生活がしやすい」
「サッカースタジアムが新しくできたが、コンサート用のドームにしたら遊びに来てくれる人が増えると思う」
「駅前の再開発が終わったら、みんな来るんじゃないですか。みんなワクワクしてると思う」
「広島が戻りたくない街だからではなく、わたしたちの会社でもいったん県外に出たけど、また広島に戻ってくる方もけっこういらっしゃる」

県内唯一の国立大学、広島大学は、県外からの学生が7割を占めます。一方で大学・大学院の卒業生・修了生は年間およそ4000人ですが、県内に残るのはわずか1000人、75%が県外に出るといいます。

広島大学 キャリア支援グループ 渡部淳 グループリーダー
「大都市圏に比べると娯楽も少ないですし、単純に働くっていうだけじゃなくて住む環境も含めて。あと、もう1つ、親御さんが特に大都市圏に行くことについて、県外に出ることについての反対ってのは、もう最近、ほとんど聞かない」

コロナ禍でオンライン面接が増えたことも、県外転出に拍車をかけたそうです。

広島大学 キャリア支援グループ 渡部淳 グループリーダー
「企業との接触の機会が増えてきて、企業側からすると地方にいい学生がいるじゃないかっていうことに気付いたっていうことと、学生にしてみると費用の面、時間の面と体力の面とで非常に厳しい状況にこれまであったので、双方がそういう状況になったので、東京への流出、県外の流出っていうのが増えたと思っています」

広島大学では、地元に優秀な人材を残したいと県内企業の良さを紹介する授業やセミナーを開いています。

広島大学 キャリア支援グループ 渡部淳 グループリーダー
「住んでいるとよさに気がつかない。だから1回、若いときに県外に出て、出ても30歳前とかで帰ってきてる方もけっこういらっしゃるみたいなので、よさを知るためにも1回、外に出るっていうような形で学生を見守っていただければと思います」

― サッカースタジアム建設や広島駅前の再開発など魅力も増えている。いったん県外に出ても、また戻ってきたいという街になればいいですね。

© 株式会社中国放送