兵庫・淡路島西岸の養殖ノリ5500万枚が廃棄処分に 海域に油浮遊、5漁協が出荷停止 200トン焼却へ

淡路島沿岸でのノリ収穫の様子(淡路市提供)

 淡路島西岸の兵庫県淡路市江井沖で11日に確認された油の塊の影響で、周辺で養殖するノリ5500万枚が廃棄処分を余儀なくされたことが19日、分かった。収穫の最盛期だが、同市内の5漁業協同組合が出荷を停止。ノリは焼却する予定で、同市は処分費の半額に当たる8300万円の支援を決めた。処分量は約200トンに上る。

 神戸海上保安部などによると、11日午後、同市江井沖で黒い油の塊が多数浮遊しているのを漁業者が見つけ、一宮町漁協の職員が同保安部に通報した。

 同保安部の巡視船が出動し、同市郡家港入り口付近などでも油を確認。周辺の砂浜でも油が付着した海藻が見つかった。同保安部が原因を調査している。

 同市によると、油が確認された範囲は同市江井から富島にかけた一帯。周辺でノリを養殖している市内の37事業者は11日以降、全てのノリを廃棄するため、刈り取り作業を続けているという。

 島西岸の淡路、洲本両市の6漁協でつくる「西浦水交会」は、淡路市に大量廃棄に伴う支援を要望した。同市は5漁協への補助金8380万円を計上した2023年度一般会計補正予算案を19日に専決処分した。

 淡路県民局洲本農林水産振興事務所によると、ノリの収穫期は12~3月ごろ。兵庫県内のノリ生産量のうち約30%が淡路島産という。

 一方、同水交会事務局によると、入札会には10日までに収穫したノリのみを出品したといい、「油が確認されてからは出荷していない。既に入札済みのノリについては、油の影響の心配はない」としている。(中村有沙)

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