西之表市が独自に騒音測定器を設置へ 米軍再編交付金を利用 馬毛島基地と共存? 八板市長「そういう考えではない」

(資料写真)騒音デモ飛行のため、西之表市の馬毛島上空を飛ぶF15戦闘機

 鹿児島県西之表市は19日、同市馬毛島への米軍機訓練移転を伴う自衛隊基地整備に絡み、市内の公共施設を中心に騒音測定装置を設置すると明らかにした。工事請負費6006万円をはじめ、米軍再編交付金事業として2024年度一般会計当初予算案に42件計19億9032万円を盛り込んだ。

 装置の設置場所は静音性などを考慮する必要があり、市は「数を含めて検討中」としている。八板俊輔市長は「基地ができる可能性を考え、時間経過での変化を比較するために備える」と説明。基地と共存する意図について「そういう考えではない」と述べた。

 再編交付金は基地整備の進展などに応じ、国が支給する。市は交付初年度だった23年度と同規模の約20億円を見込み、「社会基盤・環境」「防災・防犯」「地域産業」「子育て・教育」「文化・スポーツ」「行政運営・市民協働」の6分野に振り分けた。前年度からの継続事業は23、新規が19。

 市民の購買力を高め、地域経済を活性化させる狙いで、南種子町に続いて秋にも独自の電子地域通貨を導入する方針。昨年1月の基地本体の着工後、多くの漁船が工事関係者の送迎に駆り出され漁獲量が激減したことから、漁業の立て直しに向けて今後10年間の水産振興計画を策定する。

 八板市長は現時点で基地整備の賛否を明言していない。再編交付金を活用した市政運営について「法令に基づいて交付される。財源の一つとして有効活用していく」と、従来の考えを繰り返した。

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