子育て負担軽減に注力 予算407億円、知事「大幅増」

 富山県は「こどもまんなか社会」の実現に向け、私立高の授業料やフリースクール利用料などの支援を拡充し、子育て世帯の経済的負担の軽減に取り組む。新田八朗知事は、子ども施策に関する新年度当初予算額は407億円で、今年度の386億円から大幅に増加すると説明。「困難な状況にある子どもを誰ひとり取り残さない」と全国トップレベルの子育て環境づくりに力を込めた。

  ●私立高授業料を実質無償化

 県は私立高の授業料の補助について、年収910万円未満で子どもが3人以上の多子世帯やひとり親世帯に対象を拡大し、実質無償化する。910万円未満世帯の実質無償化は東京、福井に続く全国で3番目の取り組みとなる。入学料の助成対象も拡大する。事業費に3億1022万円を計上した。

 国は年収590万円未満の世帯に、私立高の平均授業料の月3万3千円を支援して実質無料化している。590万~910万円世帯に対しては月9900円を支給。県は上乗せする形で6600円を補助しているが、1万6500円は保護者の負担となっていた。

 新年度から、県は590万~910万円の多子・ひとり親世帯に、さらに月1万6500円を加えて実質無償化する。新年度、県内私立高10校の生徒がいる家庭で支援拡充の対象となるのは429世帯で、全体の約55%の世帯で授業料が無償化されると試算する。

  ●入学料も助成拡充

 県はこれまで私立高での負担額が県立高と同額となるよう、私立高に通う全ての270万円未満世帯と270万~590万円の多子世帯の入学料に関し、県立高の場合にかかる5650円を本来の13万円から差し引いた12万4350円を助成してきた。新年度は270万~590万円世帯のひとり親世帯と590万~910万円の多子・ひとり親世帯も加える。新田知事は「他県では例がない取り組みだ」と述べた。県は拡大される対象が354世帯になると予測している。

  ●施策に子どもの意見

 新田知事は、小中学生から意見を聞き、子どもに関する施策に反映させる「こどもの意見プラス事業」に取り組む考えも示した。

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