〈いしかわ2024年度予算案〉馳知事、応援割「できる施設から」 宿泊業者の反発受け対応軟化

  ●仮設3月末までに4000戸 計画を上積み

 石川県の馳浩知事は15日、能登半島地震の被災地に対する国の観光支援策「北陸応援割」を、県内で準備が整った施設から始めることを検討する考えを明らかにした。14日に開始を遅らせる方針を表明したが、宿泊事業者らから反発を受け対応を軟化させた。3月末までに3千戸を着工するとした仮設住宅は計画を見直して4千戸に上積みする意向も示し、金沢以南のホテル・旅館に避難する被災者の住まいの整備を急ぐとした。

 2024年度の県当初予算案の発表会見で馳知事は、北陸応援割について「石川全体で遅らせるのか、できるところから始めるのか、事務的に詰めてもらえないかと(指示している)」と述べた。

 応援割は北陸三県と新潟県を対象に1泊2万円を上限に旅行代金の50%を割り引く。政府は実施時期を3~4月としているが、馳知事は14日の会見で富山、福井両県に「先に進めてほしいと伝えた」と説明。これに対し、観光需要回復の起爆剤になると見込んでいた南加賀の宿泊事業者から「断固反対」との声が上がっていた。

 仮設住宅は、15日現在で2347戸を着工し、想定を上回るペースで整備が進んでいると強調。17日には輪島市三井町の三井地区交流広場で木造長屋の68戸を着工する。ただ、申請件数は7千件超で希望者全員が入居できるめどは立っていない。

 地震で損傷した住宅のうち、国の被災者生活再建支援制度の対象とならない半壊世帯について、県は市町と連携し、最大100万円の支援金を支給する。県内全市町が対象となる。

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