“馬体安全”一緒に祈願…例大祭で「馬の観音参り」再現、11頭がお参り 馬の守り本尊、東松山の上岡観音

「馬の観音参り」を行う武蔵逍遥乗馬会所属の馬とスタッフら=19日、埼玉県東松山市岡の上岡馬頭観音

 馬の守り本尊として信仰を集めている埼玉県東松山市岡の「武州上岡馬頭観世音菩薩」(妙安寺)で19日、例大祭が行われた。国選択無形民俗文化財の絵馬市のほか、「馬の観音参り」も再現され、本殿を回って馬体安全を祈願した。

 妙安寺(桜井説由住職)は、鎌倉時代に創建されたとされ、菩薩像の頭上に馬の頭をいただいていていることなどから江戸時代に「馬の観音様」として広まり、広く信仰されてきた。

 比企地域の農家にとってかつて、馬は共に働くパートナーとして大切にされ、年に1度、例大祭に連れられて観音様を回り、絵馬を買って一年の無病息災を祈ったという。

 絵馬市は昔は100店ほど出たが、今は「絵馬市保存会」(根岸成直会長)のみとなっている。一方、馬の観音参りは地元の「武蔵逍遥乗馬会」(相川悟代表)が昨年4月の月縁日に試行的に復活させた。

 初めての例大祭では同会の馬11頭がスタッフと4~5キロ歩いて上岡観音を訪れ、午前と午後の2回、馬の観音参りを行った。相川代表は「上岡馬頭観音から、動物の命を大切に思うアニマルウェルフェアが広がれば」と願っている。

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