中国が住宅ローン基準金利0.25%下げ、予想より大幅 不動産市場下支え

[上海/シンガポール 20日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)は20日、銀行貸出金利の指標となる最優遇貸出金利(ローンプライムレート、LPR)の5年物を25ベーシスポイント(bp)引き下げた。低迷する不動産市場と経済全体を下支えする。

人民銀は5年物LPRを4.20%から3.95%に引き下げた。引き下げ幅は2019年に貸出金利のメカニズム見直しが行われて以降最大で、アナリストの予想を大きく上回った。1年物は3.45%に据え置いた。

ロイターが市場関係者27人に今週実施した調査では、25人が5年物LPRの引き下げを予想。引き下げ幅の予想は5─15bpだった。

上海易居房地産研究院のアナリスト、ヤン・ユージン氏は「最大のシグナルだ。史上最大の利下げサイクルが始まった」と述べ、5年物LPR引き下げが住宅ローンコスト削減を通じて不動産部門に直接影響を及ぼすと指摘した。

中国の新規・既存融資は主に1年物LPRに基づいており、5年物LPRは住宅ローン金利に影響する。

5年物LPRの引き下げは23年6月以来。引き下げ幅は10bpだった。

人民元は昨年11月20日以来の安値に下落したが、その後下げ幅を縮小。中国不動産株は上昇した。

人民銀系の金融時報は18日、LPR引き下げの可能性を指摘し、5年物が引き下げられる可能性が高いと報じていた。

同紙は対話アプリ「微信(ウィーチャット)」の公式アカウントで「5年物LPRの引き下げは、信頼感の安定や投資・消費の促進、不動産市場の安定的で健全な発展支援に寄与する」とした。

中国当局は不動産部門への支援を強化してきたものの、断続的な対応にとどまり、経済の4分の1をけん引する同部門や株式市場への重しになっている。

アナリストや投資家の間では、消費押し上げや不動産価格の底入れにつながる追加措置を待つ向きが多く、春節(旧正月)連休前の証券当局トップ交代を受けて期待が高まっている。

リーガル・アンド・ゼネラル(L&G)インベストメント・マネジメント(香港)のアジア太平洋投資ストラテジスト、ベン・ベネット氏は「今回の措置は実質的なものというよりシグナルだ。人々が住宅を購入しないのは住宅ローン金利が高すぎるからではなく、不動産開発会社の破綻や住宅価格下落の可能性を懸念しているためだ」と指摘。それでも、住宅市場を支えようという決意は示しているとし、今後銀行や住宅プロジェクト、開発会社にさらなる資金注入が行われるか見極める必要があると述べた。

新たな5年物LPRは直ちに発効するが、住宅ローン金利の見直しは年単位で行われることから、既存の住宅ローン利用者は来年まで引き下げの恩恵が受けられない。

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